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2010年11月-マレーシア最新芸術情報
- 2010/11/5
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死角の Jalan Tun Razak
先日、マレーシア人アー ティストや国立美術館(Balai Seni Lukis Negara/National Art Gallery) のスタッフ何人かと、 アーティスト in レジデンス に参加するためにやってき ているイギリス人アーティ ストと話をする機会があり ました。彼が滞在している のはMali Home というペナ ンのBalik Pulau にあるアー ティスト in レジデンシー。 Balik Pulau の古くて小さい 素敵な街からぐんぐんと奥 地へ進んでいったところに あるこのレジデンシーは、ド リアンやランブータンなど の果樹に囲まれた丘の上に 存在しています。「静かな環 境でそれぞれの制作活動に 集中」というのがオーナー の目論見かもしれませんが、 作品制作に取り掛かる前に、 ひっきりなしに小屋に入り 込む昆虫(時には大きな蜘蛛 も!)、そしてなによりも孤 独との戦いを余儀なくされ、 あるタイ人アーティストは そのあまりの孤独さに耐え られず発狂して叫びまくり、 小屋の中にごみを投げちら し出て行ったそうです。
ところで、今回の主題はレジデンシーではなく、そのイギリス人アーティストの言った言葉に関係しています。
アダム:「僕もね、ここにいるだけだと辛いから、出来る限り外にも出るようにしてるんだ。KLのアートシー ンも見たくて、いろいろ回ったよ。」
国立美術館スタッフA: 「それじゃ、私達の美術館にも来たでしょう。その前に 知ってたら案内できたのに。」
アダム:「National Art Gallery? 聞いたことないな。 どこ、それ?」
―その発言に、美術館の スタッフ以上に凍り固まる 私とその他友人達。国立美術館を知らない? 普通外国 に行ったら、まず訪れる場所 なのでは? そんなにたくさ んのKLアートスペースを 回っているのに、名前さえも知らない?―
問題は彼ではありません。 知られていない国立美術館の方です。
美術館のみならず、国立劇場であるイスタナ・ブダヤ、 国立図書館が立ち並ぶJalan Tun Razak。本来ならば、文 化・教育機関が並ぶ中心地と してもっと有名であっても よいはずなのに、マレーシア一般人のみならず、タクシー 運転手さえもその施設の存在を知らないことが多いの が現実。バスや電車の公共交通機関を使って行けない図書館に、そして美術館に、学生達がどう通えるのか? タ クシーの運転手が場所を知らなくて、観光客がどうやってたどり着けるのか? 一般の人が足を運びたいと思う ような、メディアがこぞって取り上げるようなプログラミングをどうして仕掛けることが出来ないのか? 期待を胸に待ち続けて早8年。 なかなか変わりません…。