2011年4月-マレーシア最新芸術情報

サバイバーの強さ〝ABUSẼLife Sdn Bhd 6

 2月22日〜27日まで、ブキッ・ビンタンのLot10にあるThe Actors Studio@Lot10において、”ABUSE~Life Sdn Bhd 6“というお芝居が上演されました。いえ、正確に言えばこれはお芝居ではなく、出演者が自らの、あるいはその友人の体験を語る、ノンフィクションに近い作品です。

 Life Sdn Bhdは、2004年からスタートした作品で、マレーシアの今を、人々の”Life“を伝える作品です。過去に取り上げられたテーマには乳がんやエイズなども。実際の体験者や体験者を友人にもつ役者達が、Faridah Mericanの演出で、歌や踊りも交えながら、舞台の上でそれぞれの思いを語ります。

 第6回となる今回のテーマは”Abuse“(虐待)。名のキャストが、父親、母親からの精神的・肉体的虐待、祖父から受けた性的虐待や、道端で連れ去られてレイプされてしまった話、虐待された犬の代わりとなって話す役者の語り、性転換者が受けた警察からのひどい虐待など、聞いているのが辛くなるような内容がほとんどです。でも聞いている私たちよりも本当に辛いのは、舞台に上がり大勢の前に立って語る出演者たち。そのなかには泣き出してしまう人もいます。

 舞台上の彼らを観て、話を聞いている観客も、涙が止まりません。でも泣けてしまうのは、彼らのその悲しい出来事それ自体に対してよりも、そんな経験をした、あるいはしていた彼らが、その間、そしてその後、どれほど長い月日をかけて苦しみ続けたのか、今日この舞台に立つまでにどれだけの痛みや苦しみに悩まされたのかを想像して涙し、そしてまた、彼らが理解ある友人や新しい家族に助けられ、絶望からやっと立ち直れたことを知り、安堵の思いで涙するのです。ここまでくるには、想像を絶するようなさぞかし辛い日々があっただろう。それなのに、その絶望から這い上がり、今目の前に、力強く彼らは立っている・・・。

 彼らはそれぞれに言います。”I’m a survivor. I’m Malaysian.“と。出演者の強さと勇敢さに、観客は皆、心励まされて劇場を後にしたのでした。

アティカ

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