2012年4月-マレーシア最新芸術事情

待望のマレー映画  

 おもしろいマレー映画は出てこないものかと、待ちくたびれてしまうほどに待ち続けていた今日この頃。やっと登場しました、高品質マレー映画が!! 3月8日に公開されたダイン・サイド監督(DainSaid)の「ブノハン」(Bunohan)です。

 舞台はクランタンの小さな村“ブノハン”(“殺し”を意味する)。今まで一度も故郷を振り返らなかった殺し屋の長男、楽観的なビジネスマンの次男、そしてタイでキックボクサーとして生きる三男。この3人がそれぞれ村に戻ってくることから物語がはじまります。家族の関係、欲と裏切り。戦いの火蓋が切って落とされるのです。

 「ブノハン」はダイン監督の長編第2作目。彼の長編デビュー作「ドゥクン」(DUKUN/2007年)は、1993年に実際に起こった、政治家がらみの黒魔術師による殺人事件をベースにした作品でしたが、その内容から結局マレーシアでは公開されることがありませんでした。ということで、監督にとってはほぼデビュー作に近いこの作品ですが、本国での公開に先立ち、既にトロントやロッテルダムの国際映画祭に招聘されたほか、台北金馬映画祭ではNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)にも選ばれています。

 近年映画館で商業公開されるマレー映画は、コメディー、ホラー、ギャングものが主流。分かりやすい内容でディテールにはこだわらず、観客がさほど考えなくても理解できてしまうような内容がほとんどです。全体を通して‘なんとな~く’作られている感が絶えない作品ばかりのなかで、「ブノハン」は構想5年、監督がこだわりにこだわって作った珠玉の一作です。

 3月1日に行われたプレミア上映の後に発表された、それはそれはたくさんの好意的なレビューと、フェイスブックなどへの大絶賛+お薦めのコメントには、「間違いなくこの映画は、マレーシアが過去に生み出した作品のなかで、最高の作品の一つに数えられるだろう」といったものが多く、また、ここまで1本の映画がその内容の良さで人々の話題にのぼるのは、私がマレーシアに暮らし始めてからはじめてのことだと思います。ぜひぜひ、このチャンスをお見逃しなく!!

アティカ

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