2014年11月-マレーシア最新芸術事情

第27回東京国際映画祭

 10月23日~31日に開催予定の東京国際映画祭では、マレーシア映画が2作品上映されます。(このコラムを皆さんがお読みになるころには、もう終了していると思いますが…)。

 まずは、昨年“KIL”が話題になった、ニック・アミール・ムスタファ監督の『ノヴァ~UFOを探して~』(マレー語題:Terbaik dari Langit)。長編デビューから2本目までのアジア新鋭監督の作品を特集するアジアの未来部門への招へいです。青春ロードムービーのこの作品、マレーシアでは12月25日に劇場公開予定とのこと。

 そしてもう1本は、なんと記念すべきマレーシア映画初のコンペティション参加、エドモンド・ヨウ監督の『破裂するドリアンの河の記憶』(英題:River of Exploding Durians)です。高校生の恋物語を軸に、レアアース工場など現在のマレーシアが抱える問題や歴史にまで触れていくというこの作品。いつものヨウ監督らしい詩的な世界がそのような現実的な要素を含みながらどのように展開していくのか、非常に楽しみです。

 このヨウ監督、かなり若いころから映画関係者のEメールグループなどに映画評を載せていて、その頃私はいつも、「うわ~、勇気あるな~」と思っていたのですが、その後、実は彼のお父様が中華系の新聞などに映画評を書いている評論家だということが分かり、なんとなく納得。

 そのお父様と初めてきちんとお話ができたのは、昨年の日本映画祭の1ウタマ会場でした。降旗康男監督、高倉健主演の『あなたへ』を鑑賞されたお父様は、『網走番外地』の頃からずっと追い続けているファンなのだと、健さんへの熱い思いを語ってくださいました。そういえば、以前フェイスブックにアップされていたヨウ一家の日本での家族旅行の写真に、昔の映画スターのポスターや写真で壁が埋め尽くされたレストランのものがありました。健さんをはじめ、小林旭、石原裕次郎などの有名スターの写真がずらりと並んだこのお店。きっとお父様が大喜びされていたことでしょう。

 日本映画をこよなく愛する父のもとに育った映画好きの少年が、日本の大学院で映画制作を学び、そしてその作品がマレーシア初の東京国際映画祭コンペティション招待作品となったのは、何かそうなるべくしてなった自然な流れだったのかもしれません。

アティカ

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