2014年4月-マレーシア最新芸術事情

マレーシア商業映画に新たな風

 2月の終わりごろ、“The Journey”というマレーシア映画がマレーシアの歴代興行成績を塗りかえたとのニュースが、各紙で取り上げられました。

 1月30日から公開されたこの作品は、4週目の2月23日までに1292万リンギットを売り上げ、2011年から首位の座に君臨していた“KL Gangster”の記録を塗りかえました。その後さらに売り上げを伸ばし、3月2日には1518万リンギットの興行成績を達成しました。

 注目すべきは、この映画が中国語で作られ、かつ人間ドラマであるということです。マレーシア映画史上、商業映画として成功した作品は今までほぼすべてがマレー映画であったこと、また、特に近年好成績を収めた作品は、すべて娯楽性の強いアクション映画(“KL Gangster”はその名の通りKLのギャングスターのお話)やホラー映画、あるいはコメディ映画に限定されていました。これまで、マレーシアの人々にとっては、映画はワーワー、キャーキャー言いながら、あるいはゲラゲラ笑いながら観るもの(それはそれで楽しいのではありますが)、というのが一般的な観念であったように思います。観客を育てることをしていかないと、マレーシア映画の質はどんどん低下していく。プロデューサーは売れるものにしか食いつかないから、よいものを作りたければ外資に頼るしかない…といったような話を若手映画監督たちから何度も何度も聞かされていました。

 今回、普段ハリウッド映画や香港映画などには足を運ぶものの、マレーシア映画には全く見向きもしなかった人たちが、娯楽性が高いわけでは決してないこの“The Journey”に足を運び、この作品がこれほどの興行成績を残したということは、今後のマレーシア映画の発展にとって大変大きな前進であり、本当に喜ばしいニュースであるとうれしく思いました。

The Journey
【 あらすじ】
イギリスから外国人のフィアンセを連 れて帰国した娘。保守的な父は、最初 は結婚に反対するが、ある条件付きで 結婚を承諾する。その条件とは、結婚 式は伝統にのっとって行うこと、そし て、招待状を届けるために、花婿とな るフィアンセと父が一緒に全国を旅す るということだった。

アティカ

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