2014年5月-マレーシア最新芸術事情

Five Arts Centre

 マレーシアで最も活発なアーティスト&プロデューサー集団と言われるファイブ・アーツ・センター(Five Arts Centre)。

 マレーシアのみならず、この地域において著名な演出家であった故クリシェン・ジット(Krishen Jit)をはじめ、同じく演出家のチン・サンスーイ(Chin San Sooi)、ダンサー兼振付師のマリオン・ドゥクルーズ(Marion D’Cruz)が1984年に創設したファイブ・アーツは、マレーシア現代社会の抱える問題、それに対する思いを、演劇・ダンス・美術など様々なアートの形を通して表現してきました。

 そのファイブ・アーツが30周年を迎え、先日記念パーティーが、彼らが事務所+スタジオを構えるTaman Tun Dr.Ismailの一角で行われました。ファイブ・アーツのメンバ-や関係者もさることながら、集まったのはマレーシア芸術界のそうそうたる面々。そしてそのにぎやかな会場を更に沸かせる数々の仕掛け。ビジュアル・アーティストのシャロン・チン(Sharon Chin)が会場の装飾を担当。ガムランユニットRhythmin Bronzeによる演奏でパーティーの幕が開き、マリオンの挨拶、おいしい食事、過去の代表的な作品の台本を様々な人が読み上げる姿が、生中継でパーティー会場に吊るされた白い布のスクリーンに映し出されるなど、とてもアットホームで素敵な夜となりました。

 数年前に行われた日本とマレーシアの演劇プロデューサーのフォーラムにおいて、マリオンが発した言葉が、今も私の心の中にずっしりと重く響いています。「マレーシアは、この数十年で急成長を遂げて、皆不自由ない生活を送ることができるようになった。でも、まだ私たちの社会が抱えている問題はたくさんある。それをアートを通して伝えてきたし、伝えるべきことがまだあると思うから、私は未だにアートを続けているのだと思う」。

 冒頭のRhythmin Bronzeの演奏を聞き逃したという人が多く(私も含めて)、皆がおなか一杯になった頃、再度演奏の機会が設けられました。そして静かに踊りだすマリオンと3名のダンサーたち。素晴らしい演奏に酔いしれながらも、ファイブ・アーツの歴史、経験、重みそして喜びのすべてが全身からオーラとなって放たれる、そんな彼女の踊る姿に、会場が皆釘付けとなった瞬間でした。

アティカ

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