2015年10月-マレーシア最新芸術事情

期待の大型美術館オープン!

 このところのマレーシア美術界でのもっとも大きな話題は、新しくKLCCの近くにオープンした大型ギャラリー、Ilham(イルハム)でしょうか。先日開館したばかりのこのギャラリーは、アンパンパーク駅を出てJalan Binjaiに入ってすぐのところに建てられた高層ビル、IB(Ilham Baru)タワーの3階と5階にあります。

 そのイルハム・ギャラリーのオープニングは、8月15日の夜に行われました。ここ10年ほどの間に高層ビルが軒並み建設されたKLCC周辺においても、ひときわ目立っているその建物の入り口付近には、女性の身体を表現した作品で知られるタイのピナリー・サンピタックと、中国を代表する現代美術作家で活動家でもあるアイ・ウェイウェイの彫刻が美しくライトアップされて来場者を出迎えます。「インスピレーション」を意味するそのタワーおよびギャラリーのオーナーは、過去2度財務大臣を務めたことのある、実業家のトゥン・ダイム・ザイヌディン氏。以前から同氏とその奥様はコレクターとしても有名でしたが、どうやら自身のギャラリーを建てるらしいよ、という噂は3年ほど前からちらほらと聞こえていました。クリエイティブ・ディレクターを務めるのは、90年代~2000年代にマレーシアの現代美術シーンを牽引し、かつ優れた東南アジアの現代美術をマレーシアに紹介したバレンタイン・ウィリー氏です。

 ギャラリーのオープニングに際して企画された展覧会は、「Picturing the Nation」というタイトルの、近代美術と現代美術の展示の2本立て。5階の展示は、インドネシア出身でありながら、その作品や彼の存在が国家独立前後のマレーシアに大きな影響を与えたとされるダトゥ・ホセイン・エナスの回顧展。そして3階はガラッと変わって、マレーシアを代表する現代アーティストたちのグループ展。私が大好きなビンセント・リョンの「Run, Malaysia, Run」や、イー・イーランが古い写真館から集めてきた記念写真で制作するシリーズの最新作など、いかにもバレンタイン・ウィリーのキュレーションという楽しい展覧会になっていました。

 イルハム・ギャラリーは入場料無料で月曜休館。KLCCでのお買い物ついでにぜひ立ち寄られてはいかがでしょうか。詳しくは、www.ilhamgallery.comでどうぞ。

アティカ

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