2015年6月-マレーシア最新芸術事情

マレーシアとシンガポールの複雑な関係を舞台から学ぶ

 シンガポールがマレーシアから独立して今年で50周年を迎えます。もともとは一つだった国が別れ、お互いが別の道を歩み始めて、少しずつお互いが近くて遠い国になっていったこの期間。両国は、水の供給問題や空域、食べ物に至るまで常にいろいろと争いながらも、つかず離れずを繰り返しています。共有しているものがあまりにも多いこの二国間の、お互いの国と人々に対するこの親近感と敵対心の複雑な混ざり具合は、島国に育った私達日本人にとっては、とても興味深い感覚なのではないでしょうか。

 そんな、まるで離婚後もなぜか離れきれない元夫婦のようなこの二つの国を、政治を通してではなく、文学や詩を通して見つめてみようという試みが、この6月に舞台上で繰り広げられます。

 Another Country(アナザー・カントリー)は、共に劇作家であるシンガポールのアルフィアン・サアット(Alfian Sa’at)とマレーシアのリョウ・プイティン(Leow Puay Tin)が優れた短編や戯曲、著名人の演説などからテキストを抜粋し、それを演じるというもの。マレーシアのテキストはシンガポール人演出家アイヴァン・ヘン(Ivan Heng)の演出のもとにシンガポール人パフォーマー5名が、シンガポールのテキストはマレーシア人演出家のジョー・クカサス(Jo Kukathas)のもとに、マレーシア人パフォーマー5名が演じます。お互いの国のテキストを演じることによって、より多くの共通点を見出すことができるのか? それとも争うべき事柄が増えてしまうのか? お互いのテキストの中に自分たちの”家”を感じることができるのか?そして何よりも、海南チキンライスはいったいどちらの国の食べ物なのか?

 ちなみに、上述の演劇人、一人一人の細かい紹介は省きましたが、実はものすごく豪華なラインナップです。ぜひ、ぜひ、足を運んでいただきたい作品です。テキストベースなので、少しハードルは高いかもしれませんが、きっとマレーシアのことをもっとよく理解できるようになると思います。Another Countryは6月4日~14日の期間、ダマンサラ・プルダナにあるDPAC(Damansara Performing Arts Centre)にて上演予定です。詳しくはwww.dpac.com.myにてご確認ください。

アティカ

関連記事

コメントは利用できません。

アーカイブ

ページ上部へ戻る