2016年3月-マレーシア最新芸術事情

マレーシアへの想いが熱くなる映画、『OlaBola』

 中国正月(旧正月)の時期、マレーシアの映画館では、香港や台湾からの大型作品が普段よりも多く上映されます。夏休みやお正月の休暇時期に大作をぶつけてくるのは、どの国でも同じですね。

 そんななか、今年の旧正月に最も話題となった作品は、なんとマレーシア映画の『Ola Bola』でした。Bolaとは直訳するとボールの意味ですが、口語では通常サッカーを意味します。この映画は、1980年のマレーシア・ナショナル・サッカーチームの実話に基づいたストーリー。メンバーやチームに関わる人々を取り巻く境遇や、彼らが4年前に果たせなかったオリンピック出場の夢を叶えるべく、新任のイギリス人コーチの下メンバーの絆を強くしていく様子が描かれています。監督は以前『The Journey』で大ヒットを記録したChiu。役者は数名のベテランを除いてほとんどが新人ですが、彼らがキラキラと輝いていました。

 当時のマレーシア・ナショナルチームは、マレー系、中華系、インド系、そしてシーク教徒も含んだ人種混合チーム。マレーシア人であることを誇りに、マレーシアのために一つになって戦った人々です。今のこの厳しく苦しい社会的、政治的状況下において、かつてはこんな時代があったのだと、国民に思い出させる作品になったと思います。現政府が長年実施している表面的な1Malaysia(一つのマレーシア)キャンペーンよりも、この1本の映画の効果の方がよほど大きく感じられ、これこそが、映画とスポーツのなせる技なのだとも思いました。

 当初関係者からは、「旧正月用の作品が多いから、セールスはかなり厳しい」と聞いていましたが、旧正月直前にペナンで観た時は会場の7割ほどが埋まっており、旧正月3日目の2月10日にミッドバレーで鑑賞した時には、なんと公開から2週間目にも関わらず満席でした。様々な人種の人々がそれぞれ家族連れで、なかには三世代で鑑賞していて、きっと家路についてからも昔の思い出話に花が咲くことだろうと、とても微笑ましく思いました。会場によっては、本当にスタジアムでゲームを観ているみたいに盛り上がったところもあるそうです。この調子で行くと、このセニョ~ム3月号が発行される頃もまだ映画館で上映している可能性が高いので、ぜひぜひ足を運んでみてください。

アティカ

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