今月の一冊  グッド・バイ

グッド・バイ

陰鬱で暗い印象の作品が多い太宰治だが、そのなかで唯一と言ってもいいほど明るく軽快なテンポで書かれた作品が『グッド・バイ』である。本作は未完の遺稿であるが、おそらく涙あり笑いありのさまざまな別離の様相を描きたかったのではないか。かくいう私もコロナ禍のマレーシアにてさまざまな別れを経験した。さあ、これから仲良くなろうという折に帰国の命が下った人、別の道を歩む人、ロックダウンの影響で帰国を余儀なくされた人、まさに別離百態であった。太宰や井伏は、相逢った時の喜びはつかのまに消え、別離の傷心は深いと言うが、日本から遠く離れた地で出会えた喜びは大きく、また消えるものではなく、決して「サヨナラ」だけが人生ではないと信じている。

太宰治 / 著
新潮社 / 刊

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