自然のはなし-133回 オニクロバンケンモドキ

自然のはなし

伊藤 祐介  プロフィール 動物学者になりたかったのになぜか卒論は「老子研究」。在馬20年目。海外放浪歴も、ついに32年!

オニクロバンケンモドキ

 久しぶりにクアラセランゴール・ネイチャー・パークに行ったら、オニクロバンケンモドキ(Green Billed Malkoha)が4、5羽もマングローブの林に集まっているのを見ることができた。群れない鳥なので通常はせいぜいカップル程度、たいていは単独行動だ。

 全長50〜60センチメートルある大きな鳥なので、4、5羽となると移動のたびに枝がゆさゆさ揺すぶられてスゴい迫力だ。マレーシアでは繁殖期は1〜3月ぐらいだと言われるのだが、インドでは4 〜8月と言われるので、もしかすると繁殖にかかわる行動なのかもしれない。

 英名にあるようにクチバシは青緑色。上半身は青みのあるグレー、羽色は青緑色で、長い尾がやや黒っぽく先端に白のポイントが入っている。目の回りの赤が特徴。長い尾が全長の半分ぐらいを占める。

 バンケンを漢字で書くと「蕃鵑」となる。「異国の大きな鳥」といったような意味だろうか。バンケンの方が先に種として分類されたので、「バンケンに似たカッコウ亜科の鳥」という位置づけで「モドキ」となってしまったが、別にニセモノではない。きれいな鳥だけに少し気の毒。

 「オニ」というのは、種名の場合は「鬼に似ている」というより「大きい」ことを指すのが一般的。「オニヤンマ」や「オニユリ」は別に鬼に似ている訳ではない。「オオ(大)」より大きい場合に使われることが多い。「オニヤンマ」は鬼に似ていなくもないが、オニクロバンケンモドキは非常に大きいという意味だろう。 

 オニクロバンケンモドキはカッコウ科の鳥だが、日本で見られるカッコウとはだいぶ違う。カッコウといえば別の鳥の巣に卵を産んで育ててもらうという托卵で知られるが、オニクロは托卵はせずに
自分たちで巣を作って子を育てる。僕はオニクロが枝を加えて飛んでいくのを何度も見たことがある。鳴き声は「コココ」という小さく地味なもので、自己主張が激しいカッコウとはえらい違いだ。

 

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