自然のはなし-135回 ネジレフサマメノキ

自然のはなし

ネジレフサマメノキ

青果市場では鞘の差し渡しが40〜50センチメートルもある巨大なマメが売られているのを目にする。ネジレフサマメノキ(Stink bean)だ。マレーシア在住の方なら「petai」か中国名の「臭豆」と言ったほうが通りがいいだろう。
マメ科ネムノキ亜科の高木で、樹高は18〜24メートルにもなり、大きくて頑丈な板状の根( 板根) をもつ。熱帯雨林は土壌が薄いので、板根は巨木を支えるために重要なのだ。開花から3ヵ月後に結実する。蜜や果実を食べるコウモリも受粉に一役買っているという。
大木だけに1本から数千本の豆鞘を採集することができる。種から植えると10年ほどで収穫できるという。ただ収穫するためには高い木に登る必要があるので危険な商売だ。
危険といえばツバメの巣をとるために洞窟の断崖に登る採集者が有名だが、「petai」採集者も負けてはいない。このため「petai」採集者の収入はよく、1日3時間、10日ほど働いただけで5000〜6000リンギを稼ぐこともできるという。マレーシアでは主にPetai ParangとPetai Padiの2つの品種が出回っているが、Petai Parangは収量が少ないが種子(豆)は大きく高値で取り引きされるという。
中国名「臭豆」の由来はニンニクやニラに似た臭気がするためだが、その原因は硫黄化合物だ。臭いをカバーするため香辛料を利かせた料理にすることが多い。豊富なタンパク質、ミネラルを含むほか、抗ガン、降圧作用のあるフラボノイド類を含む。昔から東南アジアの人たちは体験的に「petai」の栄養価が高いことを知っていたのだろう。
ただ効能については誤解もあるようで、食べると尿が匂うためか「petai」には慢性腎臓疾患に効く とか血糖値が下がるといった俗説があるらしい。専門家は「petai」にはカリウムが多く含まれているため、これをうまく排泄できない腎臓病患者は食べ過ぎてはいけないと警告している。

伊藤 祐介  プロフィール
動物学者になりたかったのになぜか卒論は「老子研究」。在馬20年目。海外放浪歴も、ついに32年!

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