自然のはなし-138回 ナリヤラン

自然のはなし

ナリヤラン

 マレーシアはランの宝庫で、世界一野生ランの種類が多い場所だといわれる。その数は半島部だけで1000種、ボルネオではなんと3000種あるという。

数あるランのうち、マレーシアの代表選手として自然の状態で見ることができる機会が最も多いナリヤラン(Bamboo Orchid)を紹介したい。ナリヤランはフレーザーヒルやゲンティンハイランドに行くとよく見られる。日当たりのよい開けた場所では群生していることもある。

白、紫、赤紫が混じったいかにもランといった風情の大型の花を咲かせる。花びらはラン科らしく同じ形ではなく、左右対称・上下非対称となっている。茎や葉は細長く葦や笹のような形状で、バンブーオーキッドという英名はこれらから連想して付けられたのだろう。

一見するとカトレヤ(カトレアとも表記)に似ているので混同する人も多い。カトレヤは中南米産で着生、ナリヤランはアジア産で地生という大きな違いがある。着生植物というのは他の樹木や岩に根を張る植物で、地生植物というのは文字通り土壌に根を生やす植物だ。カトレヤは半日陰を好み、ナリヤランは日当たりのいい場所を好むという違いもある。それぞれカトレヤ属、ナリヤラン属という別のグループを形成しており、見かけと違って兄弟姉妹というほど近くはないのだ。

ちなみにクアラルンプール日本人会婦人部は「かとれあ会」と呼ばれるが、この通称は1972年から使っているらしい。会のイメージにふさわしいエレガントでゴージャスな花ということで、カトレヤの花の名称が選ばれたそうだが、わざわざ中南米産の花をシンボルに使わなくとも、マレーシアではカトレヤに勝るとも劣らないナリヤランがあるのだから、個人的にはこちらを使って欲しかった気もする。まあ「バンブーオーキッド会」や「ナリヤラン会」じゃ語呂があまりよろしくないか。

伊藤 祐介  プロフィール
動物学者になりたかったのになぜか卒論は「老子研究」。在馬20年目。海外放浪歴も、ついに32年!

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