自然のはなし-145回 オランウータン

自然のはなし

オランウータン

さて真打ち登場、今回はオランウータン(Orang Utan)の巻だ。動物学者にも哲学者にも成りそこねた僕にとって「森の哲学者」と呼ばれるオランウータンは最も思い入れのある動物だ。

もう15年以上前になるが、オランウータン好きが高じて毎週のように通っていた国立動物園「ズー・ネガラ」では担当飼育員たちと仲良しになり、「オランウータンを出してよ」いうと、いつも気軽に子供たちを飼育場の外に出してくれたものだ。思えばのどかな時代だったが、彼らと遊んだことで発見することも多かった。

大人の握力は300キログラムともいわれるが、4歳児程度でもプロレスラー並みの握力だった。ある時は、連れて行った僕の母のどこを気に入ったのか、つかまえたままなかなか放してくれずに往生した。

オランウータンの子供が母親と一緒に過ごす期間は6~9年といわれ、同じ霊長類のゴリラの3年、チンパンジーの3~5年に比べて非常に長い。どれも成長スピードは変わらないから、オランウータンだけが未成熟期間が特に長いというわけでない。これはオランウータンが群れを作らない単独生活を行うからだと思われる。

東南アジアの熱帯雨林の果樹は果実をつけない時期がアフリカに比べて非常に長い。野生のオランウータンは200種類以上の食物を食べているのだが、生存のためにはこれらがいつどこに行けば採食できるのかをきちんと知っておく必要がある。単独生活のオランウータンは長い母子の生活のなかでこれらを学んでいくのだと考えられている。

さて一般にはオランウータンにはスマトラ島の「スマトラオランウータン」とボルネオ島の「ボルネオオランウータン」がいることが知られているが、2017年に北スマトラ州南タパヌリ県に生息するオランウータンが別種だと確認された。「タパヌリオランウータン」は約1千平方キロメートルのエリアに800頭足らずしか生息していないため、別種と確認されて間もないにも関わらずすでに絶滅の危機に瀕している。

伊藤 祐介  プロフィール
動物学者になりたかったのになぜか卒論は「老子研究」。在馬20年目。海外放浪歴も、ついに32年!

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