2010年4月号-第9回自然の話

タツノオトシゴの巻き 

 本格的なダイビングシーズンに入った半島東海岸のプルヘンティアン島周辺に、タツノオトシゴの一種のイバラダツ(Seahorseるダイビングスポットがある。ややカレント(潮流)のある水深Thorny)が群生してい15〜20メートルほどの砂地にウミエラ(腔腸動物)などがポツンポツンと生えている何の変哲もない地形なのだが、よくみるとこれらソフトコーラルに10センチ以上あるタツノオトシゴがシッポでしっかとしがみついているのだ。

 砂を巻き上げないように静かに着地してじっくり観察する。本人はカモフラージュしているつもりでいるのだがバレバレ。「そんなに見つめないで」といわんばかりの上目使いのウルウルの目はなんとも心細そうだ。じっくりと周囲を探索すると、黒かったり黄色だったり様々な色の個体がいる(タツノオトシゴは色の変異が多い)。水深が割と深いのでタンクの空気の消費が早い。面白いので僕は3回連続で潜ってしまい、マクロ(小型海生生物)好きのダイビングショップのオーナーに「同志!」と 抱きつかれんばかりに喜ばれた。まだ正式なポイント名はついていないようだ が、オーナーは「ターフク ラブ」(と呼んでいた。英名や中国名で「海の馬」というだけあって、ナイスなネーミングだ。

 ジョホール州のプライ河口にも、タツノオトシゴの一種で最大Turf club、競馬場)17センチにもなるクロウミウマ(Seahorse地があるが、こちらはタンジョン・プルパス港などが近くにあって水質汚染が進んでおり、自然保護団体などが危機感を募らせ保全活動に力を入れている。ここではタツノオトシゴはウミエラではなく、海草の林を拠り所にして生きており、この海草の林が減少しているのだという。クロウミウマの学名は「kudaいい方ならすでにお分かりのようにマレー語の「Spotted)の大きな群生Hippocampus」というが、察しのkuda (馬)」から取ったもの。沖縄などにもいるようだが、これもれっきとしたマレーシアご当地動物なのだ。

伊藤祐介

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