2014年12月-サンヨウベニボタル

  • 2014/12/8
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shizen 珍しい昆虫が少なくないマレーシアだが、なかでもサンヨウベニボタル(Trirobite beetle)は姿形だけでなく、生物学的にも非常にユニークであることで知られる。

ベニボタル科といっても、クアラセランゴールなどで観光名物になっている光りながら飛び回るホタルとは別種で、発光しない。サンヨウベニボタルは極端にオスとメスで形や大きさが違い、とても同じ種とは思えない。メスはオスより10倍も大きく、ヨロイ武者のような武骨な格好で地面近くを這っており、飛ぶこともできない。その姿はムカデが40〜80ミリメートルほどまで短くなり、カニかエビのようにトゲトゲを生やしてごつくなったものと想像していただきたい。ただし脚はムカデのように何本もあるのではなく、昆虫らしく6本である。この物々しい姿から古代の節足動物、三葉虫に似ているということでその名がついた。

昆虫マニアの間では、「最も気持ちの悪い虫」というとしばしばその名前が挙がるので、彼女らにはちょっと気の毒ではあるのだが、これは幼虫の状態でそのまま大人になったというネオテニー(幼形成熟)であるためだ。ネオテニーというのは生殖器官は成熟しているが、それ以外の器官や形態は幼生の特徴を残しているというもので、「あの娘はベビーフェイスだけど、やることはやるんだよな」どころの話ではない。顔どころか姿まであどけない状態のまま、子孫を残しやがてオバアサンになってしまうのだ。生態についてはまだ分かっていないことが多い。

一方、オスは10ミリにも満たないが、きちんと成熟して甲虫らしい格好をしている。典型的なノミの夫婦で、当初オスはゴツゴツとして気持ち悪い昆虫(つまりメス)に寄生する別種の甲虫だと思われていたらしい。ゴツイ大女とひ弱なヒモ男の組みあわせというわけで、これはこれで夫婦関係は円満にいくようだ。

伊藤祐介

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