2015年1月-ヨロイハブ

マレーシアにはコブラやアミメニシキヘビといった名だたるコワモテヘビがいるが、森林を歩いている時に遭遇する可能性が最も高いヘビはといえば、ハブの仲間のヨロイハブ(Wagler’s Pitviper)ということになろうか。

shizen 全長は80〜100センチほど。頭はいかにもハブらしい三角形をしており、体色は年齢や性別で変化が多く、こどもやオスは鮮やかなグリーンで美しい。卵胎生で一度に40匹ほどが生まれる。幼少時は細長いが加齢と共に太さを増していかめしくなっていく。低地の薮に住むのに適したように、尾を低木の枝に巻き付けることができる。

和名を聞くと沖縄のハブをさらに凶悪にして防御を強化したかのような恐ろしげな感じがするが、意外におとなしく動作もゆっくりしている。名前の由来は不明だが、たしかに成長して黒みが増したメスなどは、何となく日本のヨロイに似ている気がする。

夜行性なので昼間は特にじっとしており、体色がカモフラージュとなってなかなか見つけられない。エサはネズミやトカゲ、小鳥などで、近づいた獲物を捕える待ち伏せ型のハンターだ。サラワク州バコー国立公園で夜、見つけた個体は、翌朝になってもまったく同じ場所に同じ格好で鎮座していた。

目と鼻先の間にある器官はピット器官といい、赤外線探知器となっている。これで獲物の体温と周辺の温度の違いを探知する。長いこと同じ格好でじっと待っていて、近くに来た獲物をパクッといくわけだ。牙にはマムシ亜科特有の出血毒があるが、毒性は弱く、咬まれても死ぬことはないといわれる。

ヨロイハブといえばペナンの観光名所となっているヘビ寺が有名だが、ここでは本堂で無造作に放し飼いにされているものの、驚くべきことに参拝者が咬まれたことはこれまで一度もないという。これも神の御加護というのだろうか。

伊藤祐介

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