2015年11月-ヒョウモンダコ

sizen エルニーニョ現象にともなう温暖化の影響で、最近、熱帯の生物が日本周辺に出没しているという。今年の夏は、ヒョウモンダコ(Blue-ringedoctopus)が列島各地で確認されたと報じられた。体長は10センチメートルほどの小さな身体が、その名の通り青色の輪紋でおおわれている。

ヒョウモンダコも他のタコと同じく岩や海藻などに擬態できるのだが、敵に追いつめられて「もはやこれまで!」となると地色を黄色に変化させ、青色の輪紋をかえって目立たせる。これはヒョウモンダコが、「猛毒」という奥の手をもつからだ。

唾液に含まれる毒はフグ毒と同じテトロドトキシンで、咬まれると人間でも死ぬこともある。ガラガラヘビのように自分の居場所をあえて敵に知らせて「危ないぞ! 近づくな」とサインを出し、平和裏に立ち去らせるというのがヒョウモンダコの作戦なのだ。一方、毒という武器をもつためか、8本の脚は細身で華奢だ。

タコの仲間は見かけからひょうきんなイメージが強く、頭が悪そうに見える生物だが、意外に知能が高いことでも知られる。ネジ蓋付きの瓶にエサを入れておくと、器用に蓋を回して開ける。試行錯誤して迷路を通過するとそのルートを覚えていて、二度目は迷わずに通過したりする。それどころか仲間が迷路を通ってエサをとる様子をみせると、それをきちんと記憶していて自分の番になると迷うことなくさっさとエサをとってしまう。自分が直接体験していなくても、客観的に状況を判断できるのだ。

これだけ高い知能を有しているにもかかわらず、驚くことに脳のサイズはかけらほどしかない。これを補っているのは、脳並みに発達した神経細胞だ。その神経細胞の多くが8本の触手に集中している。知能はイヌ・ネコ並みとか3歳児並みいう説もあるが、少なくとも無脊椎動物ではトップクラスだといわれる。寿命が1年程度と短いのが残念だが、人間並に長生きすればスゴイことになるかもしれない。

伊藤祐介

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