2016年3月-ゴマモンガラ

Clipboarder.2016.03.10-003 一般に危険だと思われている動物が意外に危険でなく、意外な動物が危険だったりすることをこのコラムでいくつか紹介した。

サンゴ礁のポイントをダイビング中であれば、「ホントに危険な動物」としてゴマモンガラ(Titan Trigger fish)は外せない。カワハギの遠縁のモンガラカワハギ科の魚で、扁平な体形。体長75センチメートルと巨大な上に、鋭い歯をもっている。貝やカニ、ウニ、サンゴなどの硬いエサをバリバリ食べるので歯は強力だ。これだけでも十分脅威だが、繁殖期には特に性質が荒くなるので始末に負えない。

巣は平らな砂地に作るのだが、メスは卵を守ろうと近づくものは誰彼構わず襲い掛かって追い払おうとする。一定のエリアを目まぐるしくグルグル回っているのをみたら要注意だ。僕がこれまで見てきた限りでは、半径4メートルは要注意範囲だ。こちらが逃げてもかなりの距離まで追いかけてくるしつこい性質のヤツもいるからだ。水深の浅いほうに逃げてもダメという話もある。上のほうは縄張り範囲らしいので、横方向に逃げよう。ゴマモンガラを見つけたというダイバーが使うサインはピストルを撃つ格好。英名から来ているわけだが、ダイビング中に見つけたら早速バディに教えてあげよう。

僕自身、噛みつき攻撃を受けたものの、厚いウェットスーツに助けられたことは多い。数人のダイブマスターから、ゴマモンガラから突進されてマスクの硬質ガラスが割れたという話も聞いた。ダイビング中にマスクが壊れると大変だ。僕は南アフリカのケープタウンで潜った際に、海底でレンズが外れて落ちてしまったことがある。透明度が低いとまったく見えなくなるので、僕はその場にとどまってバディがみつけてくれるのを待った。幸いバディはすぐに気づいてくれて一緒に安全に浮上できたが、もしバディが気づかなかった場合は、なんとか自力で水深や浮上時間を推測しながら慎重に浮上しなければならない。

伊藤祐介

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