2017年1月-アオバアリガタハネカクシ
- 2017/1/12
- 自然のはなし
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甲虫は、カブトムシやクワガタを代表する硬い外骨格をもつ昆虫のグループだ。前翅が硬くなって鞘翅と呼ばれるヨロイの役目を果たしている。前翅とはチョウでいうところの頭に近い方(つまり上の方)にある左右二対の翅だ。甲虫は硬い鞘翅の下に二対の後翅を折り畳んで隠しており、実際に飛行する際にはこの後翅だけを使って飛行する。ヨロイがなく体重が軽いチョウやハチには飛行能力でははるかに及ばない。
この鞘翅はカブトムシなどではボディ全体を覆っているのが普通だが、ハネカクシ(Rove Beetle)という甲虫の場合は鞘翅が小さく胴体の大部分が剥き出しになっている。ハネカクシといっても決して鞘翅を隠しているわけではない。鞘翅がボディサイズよりはるかに小さくちんちくりんなので、ボディが丸見えなわけだ。見かけはひょろ長いアリやハサミムシのようにも見える。
お金がなくてサイズに合った服が買えなかったわけでもあるまいし、どうしてこうなったかは不明なのだが、他の甲虫と同じく小さな鞘翅の下にきちんと後翅を畳んで収納している。あまり一般に知られていない昆虫であり研究もまだ進んでいないのだが、世界中に6万種いるともいわれる。
マレーシアで度々大発生して問題視されているのが、ハネカクシの仲間であるアオバアリガタハネカクシだ。日本にもいる昆虫で、体長は7ミリほど。頭と鞘翅が青いため「アオバ」、アリに似た外見から「アリガタ」と名付けられている。
問題視される理由は、アオバアリガタハネカクシの体液にペデリンという有毒物質が含まれているためだ。うっかり手で払ったりするとつぶれて体液が皮膚につき、水ぶくれをおこして激しく痛む。今年はマレー半島北部州やセランゴール州アンパンで被害が報告されている。夜電燈の明かりに集ってくるので、万が一落ちてきたらやさしく払い落として欲しい。
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