2017年2月-オオナガトゲグモ

 
マレーシアのジャングルには数百種のクモが生息しているといわれる。知名度ではタランチュラの仲間がトップだが、最優秀デザイン賞をあげたくなるのがオオナガトゲグモ(Curved spiny spider)だ。タランチュラは有名料とでもいうのだろうか、フレイザーヒルなどでは密猟に遭って急速に数を減らしているといわれるが、無名のオオナガトゲグモにはそういう心配はなさそうだ。
トゲグモ属はコガネグモ科に属しており、空中に同心円状の巣を作る点では共通している。ただトゲグモ属の腹部はキチン化しているため非常に硬く、そこに名前の由来となったトゲが6本生えている。トゲの生え方は種類によって千差万別で、長さ数ミリのトゲが放射状に生えてコンペイトウのような姿をしているものもある。
オオナガトゲグモの特徴は、胴体の3倍ほどもある極端に長くカーブした2本のトゲだ。1センチメートルほどの赤やオレンジ色の胴体に戦国武将の兜の前立てのような黒くて長いトゲが伸びている。黒田長政の「水牛脇立桃形兜」にそっくりだ。
注目点は2本の長いトゲが後ろ向き、つまりお尻の方に向かって生えていることだ。ヤマアラシを想像して欲しい。ヤマアラシは毛が変化した針状の毛をもっているが、生えているのはやはり後ろ向きである。襲われると針を振り立ててバックしながら威嚇する。あくまで攻撃用ではなく防御用なのだ。
空中に巣を張るクモは巣の真ん中で獲物を待ちうけているので、クモカリドリのような小回りが利いてクチバシの長い鳥は脅威だ。その点、オオナガトゲグモは頭を下にすると長いトゲが上向きになるので防御能力が高い。さらに派手なオレンジ色は「俺に近づくと危ないゾ」と示す効果がある。スズメバチやスカンクの縞模様のような「警告色」とか「警戒色」と呼ばれているものだ。一流デザイナーがつくったような見事なデザインにはちゃんと理由があるのだ。2222

伊藤祐介

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