2020年 2月-127回 スマトラサイ(その2)

  • 2020/2/1
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サバ州タビン野生動物保護区にあるサイ保護施設で飼育されていたスマトラサイ(Sumatran Rhinoceron)のメス、「イマン」が昨年11月23日に死亡した。かつてはボルネオだけでなくマレーシア半島部でも闊歩していたスマトラサイが、マレーシア国内から永遠にいなくなってしまった瞬間だった。

野生動物が自然の状態で100年以上存続していくために必要な個体数は種によってだいたい決まっている。これを最小存続可能個体数というが平均すると、500から1000の個体が必要とされる。スマトラサイは現存する5種のサイの中では最小だが、それでも体長2.5~3メートル、体重800~1000キログラムの体は他を圧する。繊細かつ身体が大きく、環境や人間の影響を受けやすい動物はこの数字がさらに大きくなる。 しかしマレーシアのスマトラサイの生息数は、1980年代初めの時点でマレーシア半島部とサバ州で生息数が合計50~75頭と推測されていたから、もうこの時点で自然の状態に任せられる状態ではなかったのだ。 こうしてスマトラサイは見つけ次第に捕獲&保護され、人工繁殖のために厳重な管理下で飼育されていくことになったのだが、人工繁殖はことごとく失敗した。野生の個体については、すでに2015年に事実上の絶滅宣言が出されており、保護下にあるサイだけが頼みの綱となっていたのだが、国内最後のオスとみられていた「タム」は2019年に飼育先で多臓器不全のために死亡。この時点で純国産だけの繁殖は不可能になった。残る「イマン」についてはすでに繁殖能力がなくなっていたとみられており、絶滅は時間の問題だったのだ。 僕はアフリカでシロサイとクロサイ、ネパールでインドサイの雄姿を野生の状態で見ることができた。残念ながらマレーシアで野生のスマトラサイを見る夢はついに叶わなかった。野生のスマトラサイはインドネシアに残り80頭を残すだけである。

伊藤祐介

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