2020年 6月-129回 バイオリンムシ

  • 2020/6/5
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いつか見たい見たいと思っていたバイオリンムシ(Violin beetle)を先日、サラワク州グヌン・ムル国立公園で初めて見ることができた。数万のコウモリが乱舞することで有名な巨大洞窟、ディアケイブからの帰り道。すっかり暗くなった木道の上にひょっこり現れた。日中は日が当たらない森林の倒木、樹皮の陰に隠れているのでなかなかお目にかかれない昆虫だ。幼虫はキノコの一種であるサルノコシカケを住み処とし、サルノコシカケを食べて成長する。朽ち木を食べるクワガタの幼虫を想像してもらいたい。成虫になってもサルノコシカケを食べるといわれるが、主に夜に活動を開始して他の昆虫の幼虫などを食べているとみられる。実際ミルワーム(飼料用の甲虫の幼虫)を与えたら食べたという話を聞く。
名前はその形状がバイオリンに似ているからという単純な理由だが。僕は個人的には軍配に一番似ていると思う。しかしカメムシ目の昆虫にグンバイムシというのがいて、バイオリンムシより先にグンバイムシを名乗ってしまった。バイオリンムシの体長は10センチメートルほどで平べったい。体色は濃い褐色でつややか。擬態する樹皮に似てデコボコしているがヘナヘナした感じではなく、かなりかっちりしている。まるで薄いベッコウ飴細工のようだ。バイオリンムシは平べったい外見にも関わらずれっきとした甲虫で、オサムシ科に属する。近縁であるゴミムシと同じように、危険を察知するとお尻から有毒ガスを出すという。
擬態昆虫の王様であるナナフシ目のコノハムシは翅も胴体も平べったくなっているが、バイオリンムシの場合はバイオリンの形に見える部分が鞘翅で、胴体部分は細長い。胴体に比べるとかなり鞘翅がオーバーサイズとなっているのだ。後翅は普段は折り畳まれて胴体に密着している。カブトムシなどと違って鞘翅に比べてかなり小ぶりなので、一応飛ぶことはできるが飛翔能力は低いと思われる。

伊藤祐介

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