自然のはなし-131回 コウモリダカ

自然のはなし



コウモリダカ

サラワク州グヌン・ムル国立公園で何十万というおびただしいコウモリの乱舞を観察に行った際、このコウモリたちを狙う猛禽類に目が止まった。

夕方になるとコウモリは「空飛ぶドラゴン」に例えられるように、細長い帯状に固まってディア・ケイブ洞窟を飛び立つのだが、その群れに単身果敢に突撃していく。その名もズバリ、コウモリダカ(Bat hawk)というタカの一種だ。英名も和名と全く同じくコウモリダカとなっている。全長は45センチほどでハヤブサとほぼ同じくらいの大きさ。全体の羽色は茶色がかった黒で、胸と喉元は白い。

一撃必殺のコウモリダカは猛スピードでコウモリの群れに突入する。コウモリの群れは乱れながらも必死に交わそうとするが捕らえられてしまう。海でいえばタカサゴの群れに繰り返し繰り返しアタックするバショウカジキ、サバンナでいえばガゼルの群れに突進するチーターといった風情だが、コウモリダカの狩りの成功率は非常に高く5割ほどになるそうだ。ハヤブサやオオタカが1〜2割といわれるからスゴい成功率だ。

コウモリダカは捕まえた獲物をほとんど空中で丸呑みするらしい。安全な場所に運んでいって食べる他の猛禽類とは違う点だ。獲物を丸呑みにする必要からか身体が大きなオオコウモリは狙わない。洞窟に住むのは50グラムぐらいの小型軽量のコウモリがほとんどだ。

コウモリ以外もアマツバメなどの小鳥、昆虫なども補食するようだが、コウモリがメニューのトップに置かれているというのもユニークだ。狩りの成功率の高さ、ライバルが少ないこと、エサの量の豊富さもあってか絶滅の懸念が少ない種に分類されている。

コウモリダカのことをもっとよく見たい、知りたいと思っていたら、国立公園事務所の横の20メートルほどの木のてっぺんに巣を作っているのを発見した。夫婦で仲良く寄り添って枝にとまっており微笑ましかった。

伊藤 祐介  プロフィール
動物学者になりたかったのになぜか卒論は「老子研究」。在馬20年目。海外放浪歴も、ついに32年!

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