わくわく!マレー語の暮らし - boleh ボレ = ~できる

manis boleh ボレ = ~できる

マレーシアでは、時に独特の英語の使い方を耳にすることがあります。その代表選手ともいえるのが「キャン!」でしょう。「I can~」とか「Can you~」とか中学校で習ったけれど、canだけで答えようものなら文法的に×だったはず。英語の「can」に相当するマレー語は「boleh(ボレ)」ですが、これはマレー人の日常生活の中でよく使われています。
そもそも日本語の「できる」には文法的に2つの意味合いがあります。「私は50メートル泳ぐことができる」という【能力】の意味と、「この湖で泳ぐことができる」という【可能】の意味。では「makan(マカン)=食べる」とセットにして「boleh makan(ボレ マカン)」と言った場合、どういう意味になるかというと、「辛いものを食べることができる」【能力】とか、「ここで朝ごはんを食べることができる」【可能】とか、さらに「ここにあるお菓子を食べてもいい」【許可】とか、「食べきれないから食べてくれない?」【依頼】とか。
英語のcanも多くの意味合いがありますが、マレー語のおもしろいところは主語を省いてしまい、さらに目の前に食べ物がある状況ならmakanという動詞すら省くこともあって、「ボレ?」「ボレ~!」だけで会話が成り立ってしまうところです。マレー語の文法ではそれでよくても英語の文法は違うのだから「キャン!」は正しくないでしょう?と真面目に考える日本人をよそ目に、「キャン?」「キャン!」という英会話も成り立ちます。それもマレー語では気持ちが入ると「ボレボレ」とか「マカンマカン」とか2回以上続けてものを言うことが多く、英語でも「キャンキャン」と可愛く吠えてます。
ある日のこと、私は巻き寿司を作ってモスクへ持って行きました。年配の方の中には初めてという方もいらっしゃるので、私は「boleh makan?」と聞きました。すると相手は「boleh boleh」と答えました。私の意図は「あなたは寿司を食べられますか?」という問いでしたが、相手は「ここで食べてもいい?(=食べるのは筆者)」と解釈していました。あとで誤解が分かってお互い笑いましたが、ふと思ったこと。日本の歴史の中では、こういう誤解が生じないように新しい言葉がどんどん誕生していったのだろうなあと。今日は小難しい話になってしまいましたが、こういうのもたまにはボレ?

 

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