マレーシア最新芸術事情 -2021年12月 日本語で読むマレーシアの物語

マレーシア最新芸術事情

日本語で読むマレーシアの物語

様々な民族が暮らすマレーシア。話す言葉、食べるもの、宗教や慣習など、各民族がそれぞれの文化や伝統を守り続けているからこそ、この独特な社会の形が出来上がっているのだと思います。会話の中に複数の言語が混ざることは、よくBahasa Rojakなどと呼ばれますが、Rojakのように、キュウリやパイナップル、厚揚げやマンゴーなどの具一つひとつがきちんと個性を主張しつつ、甘辛いソースで和えられて一つの食べ物になっている。まさにそれがマレーシアなのでしょう。

その一方で、巧みにBahasa Rojakを使いながらも、日常的に率先して母語以外の言語でニュースを見たり、書物を読んだりする人はほとんどいないようです。それゆえか、他民族との関わりはとても表面的であるようにさえ思えることがあります。同じ国に住んでいても、大きく異なる生活環境。そしてそこから生まれてくるそれぞれの思い。マレーシア人を含むアジアの人たちが、お互いにもう少し足を踏み入れて理解するきっかけとなり得るようなプログラムが、今月発表されます。

「アジア文芸プロジェクト“YOMU(よむ)”」は、国際交流基金アジアセンターが主催する、コロナ禍にあるアジアの「今」を文学を通して伝えることを目的としたオンラインのプロジェクト。マレーシアをはじめ、インドネシア、カンボジア、タイ、フィリピン、ベトナム、そしてインドの7ヵ国の若手人気作家による書き下ろしの短編小説の英訳と和訳が、同ウェブサイト上に今月より随時公開される予定です。マレーシアからはNadia Khan(マレー語)をはじめ、Terence Toh(英語)、Li Zi Shu(中国語)そしてM. Navin(タミル語)といった、4人の作家による作品が発表されます。

それと並行して、国際交流基金クアラルンプール日本文化センターは別途独自のウェブサイトを立ち上げ、前述の4作品全てを日本語を含めた5言語で発表するとのこと。マレー語話者が中国語の作家が綴る物語を、英語話者がタミル語で書かれた作品を、それぞれの母語で読むことができる非常に稀な企画です。もちろん私たち日本人にとっても、マレーシアの小説を日本語で読むことができる貴重な機会。そこに描かれる人々や景色を通して、まだ知らないマレーシアを覗き見ることができそうです。
詳しくはwww.jfkl.org.myでご確認ください。

アティカ  プロフィール
あっという間に在マ歴18年。外見も中身もだいぶマレーシア化してきている自分に驚かされている…

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