自然のはなし-146回 オランウータン(その2)

自然のはなし

オランウータン

オランウータンの知能はヒトの5歳のこどもとほぼ同等と言われている。DNAはヒトと4.03%違っており、同じく2.04%異なるゴリラ、1.75%異なるチンパンジーより遠縁であると言われる(異論もある)が、遠縁だからといって知能が低いということにはなら
ない。

 飼育下ではチンパンジーよりも道具を使うのは下手だが、「道具」の本質をより理解し工夫して使っているとみられる行動が報告されている。例えば、きちんと鍵がかかった動物園の檻からの脱走だが、実行するケースはオランウータンが最も多いと言われる。

 米国の動物園にいたフー・マンチューという名前のオスは、隣の檻にあった金属片を巧妙に入手し、それを使って扉を開けて脱走することを3度繰り返したことで知られる。

 犯行に使った金属片は隣の檻のメスをそそのかして入手したとみられており、それだけでも十分驚きなのだが、その後も金属片を飼育員の目から隠し続けて再犯に及んでいるというからさらに驚きだ。この「匠のワザ」によりフーは錠前の業界団体から名誉会員に選ばれた。

 オランウータンの脱走ワザを見込んで、ある動物園ではチンパンジーの飼育施設を新設した際、欠陥がないかまずオランウータンを入れて調べたという話もある。

 どうしてオランウータンは、こうした特殊な能力を発揮して複雑なことをこなすことができるのだろうか。カリフォルニア大学の調査によると、オランウータンの脳は感情を司る部分がチンパンジーより小さいという。また多くの研究者が、オランウータンの方がチンパンジーより忍耐力があり、集中力が持続すると指摘している。

 英大学の研究では、オランウータンにはヒトにしかできないと思われていた「過去の出来事を他の者に伝える」能力があることが示唆された。

 どうもオランウータンはヒトにしかできないと思われていたことをできる可能性が一番高い動物であるのであるらしい。オランウータンがもし話をすることができたら、どんなことを考えているのが是非聞いてみたいものだ。

伊藤 祐介  プロフィール
動物学者になりたかったのになぜか卒論は「老子研究」。在馬20年目。海外放浪歴も、ついに32年!

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