2016年3月-多言語の実情

「あなたの子は、日本語、広東語、マンダリン、英語、マレー語と5ヵ国語も話せてすごいね!」と言われる。私は「マレー語以外は日常に困らない程度に話せるが、マレー語はからっきし。どの言語も読み書きが追いつかず、成績が悪くて困っている」と答える。謙遜ではない。本当にそうなのだ。家では日本語、夫の家族とは広東語、いとこや幼稚園での会話は英語。どれも母語といえる程ではないが日常会話に不自由はない。

中華小学校入学当時、長男はマンダリンがほとんど話せない状態だった。それでも友達はすぐにでき、いつのまにかマンダリンで話すようになり、こどもの順応力って凄いなぁと感心したのも束の間。1年経っても2年経っても読み書きがまるでダメという事態に。先生の口頭での質問は答えられるのに、テストでは、問題が読めない=答えが書けない=成績惨敗という負のスパイラルに巻き込まれてしまったのだ。ひらがなとカタカナを教え始めていたのだが即止めた。まずは勉強の軸になるマンダリンを取得してもらわなければ! 当時は本当に焦った。こんなことで基礎学力はつくのかと。家庭教師を呼び、マンダリン、英語、マレー語の補習に力を入れた。2年生も成績は平均以下。夫は義務教育をマレー語で受けたので、マンダリンが話せるのに、読み書きができず宿題を教えることもできない。息子は休み時間中に先生に宿題を教えてもらうという術をあClipboarder.2016.03.10-002み出した。学校内で困ったことがあれば私たちに相談してくるが、「先生に言いにいこうか?」と言えば、「自分でする」と言い、どんなことでも先生や友達と解決する能力をメキメキと伸ばしていった。3年生、なんとか平均点ギリギリまで成績が追いついた。普通なら頭を抱えてしまうような成績だろうが、私たち夫婦は「半分点が取れてる!」と歓喜した。

幼い頃から生物図鑑が大好きだった長男、最近になって日本語で書かれた解説を自分で読もうとするようになった。ちらっと教えたひらがなカタカナが頭の片隅に残っていたのか、急に読めるようになったのだ。次第にくだらないゲームの攻略法を日本語でネット検索したり、「コロコロコミック」を読んだり、中国語や英語で書かれた漫画を読み始めた。私としては、長らく書き物の仕事をしているし、読書が好きだし、こどもにも本好きになって欲しいし、読書を通していろんなことを学んで欲しかったのだが、そんな理想論なんて言ってられない。興味をもち出した今がチャンス! 「読む」なら、ゲームでも漫画でも、何語でもいいから「どうぞ!」と大歓迎だ。

大学時代、言語学の教授が仰っていたことを思い出した。「バイリンガル教育は、母語が確立した15歳以上からの方がいい」と。自分の子達を見ていてその意味が分かる。息子は中国本土から来る夫のお客さんとマンダリンや広東語で会話するし、私の妹の旦那(イギリス人)とも普通にしゃべっている。クイーンズイングリッシュを聞き取り、マングリッシュで対応するのだ。凄いなと思うけれど、残念ながら語彙力はどの言語も同年代の子より遥かに低い。伝える能力に長けているが、話し言葉は幼稚なのだ。この言語環境が有利か不利か、今の段階では判断し難いが、今は地道に語彙を増やしていくことが我が家の課題。心配は尽きることナシ(涙)。

利秀

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