2016年6月-マレーシア最古の壁画

82Tsurezure-14621981165743月、USM(Universiti Sains Malaysia)の考古学教授とその学生が主催する「Gua Tambun Heritage Awareness Project」という、マレーシア最古の壁画を紹介するワークショップに参加した。朝9時に集合して壁画のあるイポーの洞窟Gua Tambunへ行くツアーだ。私の両親と、朝が苦手な我が家の悪ガキ3匹を叩き起こし、イポーへ向かった。6時に出発、私のノロノロ運転でイポー着が8時半。参加者は20~30名程度だった。まずは、我々にどのぐらいマレーシアの古代壁画について知識があるかアンケートを。私は壁画の存在を知らなかった。息子に「マレーシアの古代壁画見たことある?」と尋ねてみた。
「知らん!」と返されると思っていたが、意外にも息子は知っていた。四年生から始まった歴史の授業で先生に見せてもらったという。あら!! ちゃんと勉強してるんやね!
洞窟の入り口付近は私有地だが、先方のご好意により、その時間だけ通り抜けが許可され、近道で洞窟の入り口へ来られた。このゴツゴツとした石灰岩の岩山は大昔に隆起を繰り返し現在の姿になったのだそう。周囲は川か池に囲まれていたことを示すように、むき出しの地層には水位の跡が見られる。土の中にはたくさんの貝殻があった。これは淡水に生息する巻貝で、太古の時代、人類は先っぽを叩き割り、その身をチュッと吸い出して食べていたことが推測できるんだそう。
洞窟内には入らず岩山の登り口へと進む。急で不規則な階段、運動不足の私にはきつかった。とはいえ、我が家の3歳児でも登りきれるほどのものなのだが。剥き出しの岸壁には600以上もの古代壁画が存在する。2500年~4000年前の間に描かれたものだという。周辺の地形を示す大きな地図と壁画の切り抜きコピーが渡された。見つけた壁画を地図上に貼っていくアクティビティだ。壁画は我々が立つ位置から5~10メートル頭上にあるため、見つけるのは至難の業。それでもこどもたちは教授や学生の指導に従い次々と発見していく。ジュゴンのような絵は、Gua Tambunから10キロ以上離れた海沿いの地より旅してきた人の「海には魚という生き物がいる」という伝聞から描かれたという。狼か、牛か、いや、馬かな? などと、想像を膨らませながら、四足動物の正体を推測したり。動物の周りに手を上げている人間が描かれているが、これは何を意味するのだろう? と教授から質問が投げかけられる。こどもたちは嬉々として応える。「怖いから!」、「嬉しいから!」、「踊っているから!」。大人も負けじと持論を展開。たまに飛び出す珍回答にみなで大笑い。考古学者たちはそれぞれの見解に耳を傾けつつ、現時点の調査でわかっていることを丁寧に解説してくれるのだ。最後に古代の人が使った塗料(洞窟から取れる土を溶かしたもの)で、タイルに絵を描いた。わかりやすく的確な解説と、要領よく進められるアクティビティ。あっという間の3時間だった。正直、ここまでしっかりしたワークショップに参加したのは初めてだ。全てボランティアで行われているイベントで、予算上、次回の開催日程は未定だが、年内にもう一度行いたいとのこと。
ご参加の際は、小さな募金箱が遠慮深げに用意されているので、そこにほんの気持ちを寄せていただければと。若き考古学者の真摯な活動に心打たれるワークショップであった。

利秀

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