2017年5月-地獄巡り

4月のこと。大学時代の友人一家が立て続けに2組遊びに来てくれた。どちらも海外生活経験が長くフットワークが軽い。「東南アジアに行くなら」と、それぞれの家族旅行の前後にKLのわが家に寄ってくれたのだ。久しぶりに会うことが目的だし、2組ともKLには何度も来ている。おまけにわが家を含めた3家族ともこどもが3人いる。小さなこどもを連れて、灼熱のKLでの団体行動は大変なので、近場でお金をかけずに遊べるところを案内した。
1組目の友人一家とは、パハン州のエレファントサンクチュアリーへ行った(ここは入場無料だが象の保護に役立つよう、気持ちだけ寄付金を)。最後に訪れたのは3年前だったかな。敷地は拡張されており、ウォーキングを楽しみながら象を観察したり餌付けを楽しんだ。前日の大雨が影響し、水量増加で川での象との水浴びはできなかったけれど、いつものマレーシア旅行とは一味違う経験ができたと喜んでもらえた。
翌週、2組目の友人一家がやってきた。暑いのが苦手なこの一家とはゲンティンハイランドの「清水岩 (Chin Swee Temple)」へ行った。ここは涼しいし、道中にはおいしいレストランもある。なにより、この寺にある「地獄巡り」が面白いんである。
「地獄巡り」は、閻魔大王が死者に罪状と罰を言い渡すところから始まる。過去を映す鏡で自分の過ちを振り返り嘆いている死者の姿がそこにはある。海底の下に存在すると言われる地獄の世界。恐ろしい罰は過去の悪業により異なるのだ。①拉致、暴行、患者を騙したり不正行為をはたらいた医師、不貞行為、親孝行不完遂の自殺者。②恩知らず、不忠実者、泥棒。③脱税行為をはたらいた者、いじめ、怠慢者。④殺人、強姦、蛮行、信仰心がなかった者。⑤人身売買、中絶、ギャンブル、不正直者。⑥親孝行をしなかった、或いは年上の人に不敬だった者。⑦他人の所有物を壊したり燃やした者。
地獄に落ちた理由別に残忍な処罰のシーンがリアルな人形で再現されているのだ。全てを見届け、来世はどう生まれ変わるのか図を見て地獄巡りは終了する。わが家の悪ガキは来るたびに縮み上がり、ほんの束の間だが「良い子」に改心する。怖がりはするけれど決して嫌いではない様子。仏教や、中国文化・慣習に強い影響を与えている儒教や道教などの思想の根底を僅かながら学ぶことができるのもいい。悪行とは「嘘、不義理、虚栄心」やちょっとした出来心が引き起こすものだと、この場を借りてこどもに話したり。
観光地としては決して華はないが、KLに飽きた人を連れて行くにはちょうどよい。地獄の先にはゲンティンハイランドの麓の「アワナリゾート」から山頂をつなぐロープウェイの中間駅が新しくできていた。一駅片道8リンギ。全員分支払うと結構な額になるので、2人の夫には車で「アワナリゾート」に先回りしてもらうことに。ちょっと高いような気もするけれど、これも観光アトラクションの一つと思えば、地獄巡りとロープウェイという組み合わせも悪くはなかった。
暑いなか、人混みの観光地を6人のこどもを連れて散策するなんてまさに「生き地獄」。この2ヵ所は子連れにおすすめだ。

 

利秀

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