2017年9月-こどもの進路 その3完結

小5の息子。志望進学先は公立マレー校、夫の母校でもある。マレー語がからっきしの彼が、残り1年でどれほど語学力を伸ばせるのか。非常に不安ではあるのだが、夫一家総協力のもと「息子の成績を上げよう大作戦!」が始まった。大姐(夫の一番上の姉)が紹介してくれた、夫の実家付近で有名な学習塾へ見学に行った。ビシッとスーツを着た女性が案内してくれるも100%マンダリン。「私はマンダリンが分からないんですけど?」とやんわり英語に切り替えるよう申し出たのだが、彼女はチラッと私に目を向けるも再びマンダリンで何やらまくし立てている。マニュアル通りのセールストークが矢継ぎ早に放たれる。私は理解することを放棄し、ぼんやりと約40分間、耳に飛び入るマンダリンという「音」を聞いていた。
まずは週に2回、マレー語と中国語のクラスへ入れて様子をみようと決め、彼女に申し込みの方法を聞いた。「兄妹で入会すればさらにお得。毎日も週2回もそんなに値段が変わらない、絶対毎日通わせるべき」などなど、たった一つの質問に50倍以上の答えが返ってきた。なんだかもう、ぼーっとなってしまい、完全に思考回路はシャットダウン。「ならば毎日通わせるか。ついでに成績が悪い長女も入れようか」。スーツの女の思うつぼ、気づけばこどもの名を記入し、入会のサインをしてしまっていた。この圧倒的な営業力を誇る学習塾、その名も「超級連鎖教育集団」は、勧誘だけでなくその実績やサービスもすごい。
まずは、こどもの学力を審査。弱点強化のため無料で補習を開き、毎日学校の宿題をみてくれる。生徒は遅刻しない。なぜなら無遅刻無欠席だと翌月の学費が安くなるからだ。こどもは積極的に挙手して解答を述べる。正解だとポイントがもらえ、貯まると景品がもらえるのだ。だからこどもは一生懸命に勉強するし、親も必死で送迎に励むわけだ。
息子と娘の時間帯がずれる日は、送り迎えだけで3、4往復。大姐、義母、夫、私と連携してルーティーンをこなしている。我らはさしずめ「超級連鎖送迎集団」といったところか。私は授業が終わる午後7時の迎えを担当。付近の駐車場は常にいっぱいで車を停めるところがない。迎えの手順はこうだ。保護者は車を端に寄せてこどもが出てくるのを待つ。停める場所がすでにいっぱいで、後続車がいる場合はスーツの女に向かって手を挙げ、停まらずショップロットをもう一周する。スーツの女は無線で「○○の母到着!」と連絡。すると教室にいるスタッフがこどもを連れて降りてきてくれるのだ。このシステマティックな「ドライブスルーお迎え」が、駐車場探しのストレスと渋滞の緩和に貢献している。
送迎地獄が始まり2ヵ月がたつ。長男の成績に大きな変化はないが、長女はテストの結果が少しよくなった。毎日通うこのエリアで夫は育ち、義母は40年以上ここに暮らしている。家や学校だけでなく、夫一家の会社がここにあった時代もあり、古くからの知り合いが多い。昔から夫を知る商店のおっちゃん、おばちゃんは「さっき、あんたの子を見かけたよ!」と私に声をかけてくれる。しめしめ。「近所の目」という監視システムがある限り、ティーンエイジャーになっても息子は悪いことができないはず。家族と、地域の皆さまのおかげで我がちびっこはすくすくと育っている。

利秀

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