2020年3月-中国正月

 自営業の義父母。特に義父は月の半分を海外で過ごすパワフルな77歳。彼に定年はないのだ。中国正月の休暇も海外旅行で不在がちだったが、この5、6年はマレーシアで過ごしている。

 中国正月の大晦日に当たる日、義父は朝から巨大な壺のような鍋で、スープを煮込む。義母は地元でおいしいと評判のローストダックを買いに行く。野菜炒め、魚を揚げたもの、卵焼きや煮物など、丸一日かけて義父が料理する。汚れ物を端から片づけていく義母。さすが、熟年夫婦、息のあった連携プレーだ。1番上の義姉は、この時期海外旅行に出るので不在。甥っ子とその彼女(韓国人)、姪っ子、2番目の義姉とその彼氏(イギリス人)と義姉のマッチョなパーソナルトレーナー、私とこども、日本から来た私の両親、そして義父母という、奇妙なメンバーで大晦日の食事をとるのが、ここ数年の恒例行事。ちなみに夫はこの時期に仕事が忙しく毎年不在。食事が済むと義父はさっさと寝室に上がってしまう。こどもはゲーム、大人は酒盛り。午後10時、翌日の予定が告知され、解散。

 元旦の昼、再び夫の実家に昨夜のメンバーが集まり、お粥を食べる。湯葉や干しシイタケの炒め煮といった客家料理は、義父が朝から作ったもの。この日は義父から紅包(ホンパオまたはアンパオ)をもらう。紅包は、日本のお年玉のようなもの。未婚者であれば、いつまでももらえるし、中国正月中(15日間)は、知らない子にでもあげる。ガードマンや行きつけの店の従業員にも渡す。これは妻の役目でもあり、私もばら撒き用の5リンギ、遠い親戚やこどもの友達用に10リンギ、親しい親戚や友達の子に20リンギ、自分の子のようにかわいがっている子には50リンギ、甥っ子や姪っ子に100リンギと、袋別に用意する。しかも新札だ。

 昼食が済むと、親戚がどんどんやって来る。義父の兄弟、そのこども、そのまたこどもが次々に。義母の兄弟、そのこども、そのまたこども。しかも義母の父には奥さんが2人いて、義母は自分の母と第二夫人とそのこども達と暮らしていたので、腹違いの兄弟とそのこどもも正月の挨拶にやってくるんだから、てんやわんや。16年間、年に一度しか会わない「親戚」の顔はようやく覚えたけれど、名前やその関係性は、何度聞いても未だによく分からない。

 義父は再び台所に立ち夕飯をこしらえる。暇な者が集まりギャンブルに興じる。この繰り返しが3日間ほど続くのだ。休みが明けても、正月ムードは消えない。週末は親戚の集まりやら、友達との新年会が続くのだ。魚生(イーサン)という、マレーシアならではの縁起もの、刺身と野菜とパリパリのスナックに甘いソースをかけ、みんなで箸で持ち上げながらかき混ぜ、縁起のいいフレーズを言い合う。これも何度目か。

 15日目。いよいよ最終日。この日は息子の誕生日会を兼ねて、夫家族や友達を呼んでBBQをした。息子の友達、日本に留学している甥っ子やらその友達、姪っ子とその彼氏、一番上の義姉とその彼氏にも中国正月中に会うことができた。

 このように、15日間かけて、マレーシアにいる自分の知り合いのほぼ全員に会いまくる。楽しいんだけど、出費と疲労が半端ない、恐ろしい期間でもある。

利秀

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