KLのらりくらり徒然草 第141回 水の中の世界の惨劇

KLのらりくらり徒然草

水の中の世界の惨劇

コロナ禍における暮らしは二転三転と変化し、三度目のMCO。休校となったが、今回は正直ホッとしている。

ラマダン中で時間割変更、これが私にとって地獄だった。朝、夫が末娘を小学校へ送る。中学生組を起こして、朝食、家事と夕飯の準備をする。11時半、中学生組の昼食を用意し、食べ終えるとすぐに学校へ送る。その足で小学生を迎えに行く。家に戻って昼ご飯。午後2時頃から書き物の仕事にとりかかるもあっという間に5時半、中学生組を迎えに行く。通常は645分終業だから、迎えはほぼ夫が担当なのだが。というわけで、怒涛の送迎から解放され、ラマダン中のMCOは私にとって好都合だった。

もう一つ、MCOで助かったことがある。ある午後、娘たちはお気に入りのゲームで仲良く遊んでいた。息子は自室で友達とオンラインゲーム、私は作業場で書き物をしていた。部屋に篭っても互いの気配がわかるように「ドアは少し開けておく」が、我が家暗黙のルールなのだが。突如、ドアの隙間から「ダン!ゾォォォォォォザァァァ~、ビチャビチャ~」と、今までに聞いたこともない音がした。続けて息子の悲鳴が

慌てて駆けつけると、息子の部屋の古代魚が入った大型水槽の台(イケアの安物テレビ台)の右脚2本がポキッと折れて傾いている。水槽は滑り落ち傾くも、ぬいぐるみが入ったバスケットが辛うじてクッションとなり持ちこたえている。衝撃で蓋がずれ、水槽からは大量の水が流出している。勢いづいた水は向かいにある娘たちの寝室に流れこんでいく。階下のリビングルームの天井からもボタボタと水漏れが始まった。床にはポリプテルスの「古代さん」が、パニック状態で蛇行する。あまりの惨劇はまるで「8時だョ! 全員集合」のオチのようで、私の頭の中では舞台転換時の音楽『盆回り』が、盛大に流れていた。

へっぴり腰で古代さんを捕まえようとするヒョロヒョロの息子。掴んでも、古代さんは体をよじりながらスルリと手から抜け出す。慌ててもう一方の手で摑むもまたスルリ。アラ、エッサッサ~息子の「ドジョウ掬い」を見ていると、こんな非常事態だというのに、ニヤついてしまうアタクシ。そんな私の横を犬二匹が興奮状態で「ココ掘れワンワン」とばかりに吠え、走り回る。大慌てで末娘がそれを取り押さえる。カオスだ

長女の動きが素晴らしかった。バケツと水切りワイパーを持ってくると、息子に向かって「魚と水をバケツに移動して水槽を軽くして!」、「ママ、これで水をベランダに出して!」と指示し、夫に電話を掛けると、バスタオルやビニールで手際よく水を集めては捨てる。水槽を置きなおして古代魚たちを元に戻した。

神妙な顔で「MCOでよかったよ」と、つぶやく息子。その疲労した顔に、なぜかまた笑いがこみあげてくる。ふと末娘に目をやると、私の顔をみて、ニヤニヤ。後日、「どうして人間は大変なことが起きたり、笑ったらダメな時ほど、口が我慢できずに笑っちゃうの?」と聞いてきた。それはね、40年以上生きてきたけど、母さんにも分からんのだよ。

MCOでよかった。不在中だったらと想像するだけでゾッとしつつも、あのカオスを思い返す度に口元が緩み、再びニヤついてしまうのだ。

利秀 プロフィール 2001年来馬。チャイニーズの夫との結婚を機に永住を決意。大好きなマレーシアに振り回されつつKLライフを謳歌。現在3児の母。

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