KLのらりくらり徒然草 第142回 ご近所物語

KLのらりくらり徒然草

ご近所物語

端午の節句といえば、日本では5月5日のこどもの日だが、中国の旧暦だと毎年その日にちが変わる。この時期になると「粽攻め」に遭うのだが、今年はFMCO。粽が舞い込むことはなく、ならばと、前日に自作した。

キッチンに篭り、笹の葉にもち米を詰めていると、「ドシ~ン」と、何か巨大なものが床に落ちたような、鈍い音が耳に入った。まさか、水槽再び…? しかし、誰も騒ぎ立てない。首を捻りつつ作業を続けると、「ドシ~ン」、「ドシ~ン」と、立て続けに尋常ではない物音が。本棚か何か大きなものが倒れたのでは!?と、キッチンから飛び出すと、向かいの家から白い車がバックで出てきて走り去るのが目に入った。庭にいる夫がゲートに張り付いて向かいを見ている。粽を手にしたまま、私は慌てて外に出た。

ガレージのゲートがなぎ倒され、停めてあった車のうち、1台は家の壁に激突してひしゃげ、もう1台は引き戸の大きな窓ガラスをぶち破って家の中に突っ込んでいるではないか。「強盗か?」近所中の人々が、わらわらと出てきた。一部始終を見ていた夫は「向かいの息子、頭がおかしくなったんじゃない?」と、冷静沈着にタバコをふかしている。

向かいの様子がよく見える2階の息子の部屋で事情徴収。息子曰く、白い車がノンストップで向かいの家のゲートを突破しガレージに侵入。若い男(推定30代前半、別居の息子)が運転席から出てきて、玄関のドアを激しく叩くも応答なし。車に乗り込みそのまま逃走した。

…と、思ったら、引き返して来て、両親の2台の車に激突して破壊。白い車の前方は大破したまま逃走、ガードハウスの制止を振り切り去っていったという。

え~っと。全く状況が呑み込めないのだが。目の前に広がる光景は、壁にぶち当たり半分に圧縮された車と、「昨夜コンビニに乗用車が乗り込み…」とか言って、夕方のニュースの衝撃映像のごとく、窓ガラスを撃破して家に突っ込んじゃっている車と、ゲートの残骸…。

町内会長のおじいさんとガードさんがノックすると、「裸の大将」ファッション(ランニングシャツに短パン)のおじいさんが出てきた。このおじいさんが、白い車に乗った男の父親だ。毎朝この出で立ちに、赤い便所スリッパをカランコロン鳴らしながら、洗車するのが日課なのだが。明日から洗車もできんなぁ。

1時間ほど経って、バイクに跨り小学生かと見まがうほどに小柄な警官が3人やって来るも、話そこそこに退散。夜、向かいの家の明かりが灯った。突っ込んだ車が不気味にも浮き彫りに…。住宅地のグループチャットで「家族間のもめ事、怪我人ナシ」とだけ報告が入った。

私有地内で起きたこと。エキセントリックではあるが、ただの親子喧嘩。民事不介入ということか。激昂し、我を見失ったかのように見えるが、バックで車を出す際、近所の車にぶつけないよう慎重に運転していた息子。酔っていたのでも薬をやっていたワケでもなさそうだ。

因果関係不明のままだが、書かずにはいられないほど仰天した事件。衝撃的な写真を収めたものの、さすがに掲載するわけにもいかず、コチラでお目こぼしを。カメラを構える私の手から離れた粽は後日、息子のベッド下から寂しげにその姿を現したことは言うまでもない。

利秀 プロフィール 2001年来馬。チャイニーズの夫との結婚を機に永住を決意。大好きなマレーシアに振り回されつつKLライフを謳歌。現在3児の母。

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