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KLのらりくらり徒然草 第143回 ワクチン接種に思うこと
- 2021/8/27
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今年に入り、マレーシアでもワクチン接種についてさまざまな憶測と議論が飛び交った。私はどちらかと言えば、ワクチン接種はしたくない派。どれほどの免疫効果と持続性があるのか、将来現れる可能性が否めない副反応についてなど。素人ながらも理解し、自分の意志をもって接種するか否か、接種するならどのワクチンにするのかを選択したかったのだが、賛否両論の深みにはまり、結果、思考が停止してしまった。
志願者、高齢者、基礎疾患のある方と接種が進んでいくなか、MySejahteraへの登録に、私は二の足を踏んでいた。義姉は何を根拠にか知らんが「今すぐ登録しないと5年経っても順番は回ってこない。飛行機にも乗れなくなる」と、意味不明な言葉で急かす。煽られれば煽られるほど、不信感と嫌悪感が募った。そうこうするうちに、接種は浸透していき、若い世代にも順番が回ってきた頃、「ワクチンパスポート」や「No Jab, No Job」なんて言葉が登場した。私は愛煙家だし、お酒も飲む。体に悪いとされることをやっている身であり、得体の知れないワクチンを体内注入することに、体を思いやり拒んでいるわけではない。専門家でさえも100%安全であるという確証がない物質を、素人が素人に強く薦めて押しつける、同調圧力にウンザリしていたのだ。経済大国のあからさまな利権争いに、大衆が右往左往と振り回されていることにも辟易する。やれ、どのワクチンを打ったかと、庶民がワクチン格付けをする風潮も気に食わないのだ。
とはいえ、断固拒否するほどの確固たる信念や知識が私ごときにあるわけでもなく。ワクチンパスポートの具現化が進み、私が意固地になることで家族の生活の自由が奪われるかもしれない。どのワクチンがいいのか考えたところで全く分からんのだし、もう何でもいい。接種することで少なくとも重篤化せず、医療機関の負担を軽減できるならと、凡人は意を決し、ついに6月の末、登録をした。
義姉のデタラメをよそに、登録から一か月ほどの早さで順番が回ってきた。日本が不要とアジア諸国にばら撒いたものを、ありがたく回収させて頂いた。
当初、大規模接種会場は混雑したり待たされたりとパニック状態である話を聞いていたが、数ヵ月で随分と進歩したようだ。まるで工場のベルトコンベアに載せられた製品のように、会場内をスムーズに進み、全行程1時間で完了した。会場内のことをきちんと把握し、テキパキと誘導する若いスタッフは非常に頼もしく、臨時招集された若者たちが、短期間で要領よく優秀に働く姿には感心したし、ちょっと明るい気分にもなった。接種後は腕をしっかり動かすといいと聞き、両腕をぶんぶん回していたら、翌日、なぜだか右腕だけが筋肉痛、運動不足を痛感。副反応の高熱は痛恨の一撃だった。
ワクチンはしたくてもできない人もいれば、したくない人もいる。正しい選択が何なのかは、私には皆目不明。ただ、薬に頼らず自然治癒が自慢だった体に、メスを入れられたようで、悔しい気持ちが残っているのは確か。ワクチンパスポート化で未接種の人の権利を侵害しては決してならず、個々の選択を尊重し、元の生活に戻れるのが一番いい。特効薬ができて、「コロナ=ただの風邪」となる日がいち早く訪れることを切に願う。
利秀 プロフィール 2001年来馬。チャイニーズの夫との結婚を機に永住を決意。大好きなマレーシアに振り回されつつKLライフを謳歌。現在3児の母。
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