KLのらりくらり徒然草 第149回 土曜日の新しい過ごし方

KLのらりくらり徒然草

土曜日の新しい過ごし方

長いMCOが終わり、昨年末から我が家に新たなアクティビティが加わった。月に1度ぐらいの割合で誘われる土曜日の「お出かけ」だ。我が家の土曜日は夫が仕事で不在なので母子で過ごすことが多い。今の時代に珍しく、お稽古ごとを一切やっていないので、大抵は家でだらだらするか、思い立ったら大掃除や片付けをするか、買い物に出たり、イベントごとに参加したり、友達と約束して遊んだりして過ごしていた。しかし、この2年間はもちろんのこと、外出の機会はめっきりと減っていた。

巣ごもりの2年間で、知らぬ間にこどもは手がかからないほどに成長した。そうはいっても外出が億劫になり、各々が趣味に没頭する、相変わらず引きこもりがちな土曜日が続いたある日、義姉からお誘いがあった。「マラッカの知り合いに会いにい行くけど一緒にどう?」と。なんの予定もなく、暇をもて余していたので喜んでついて行くことにしたのだ。

夫は末っ子長男。そろって我の強い姉二人に揉まれて育ったため、私のような妻をもっても平然としているツワモノなのだが、姉たちが両親ととても仲がいいため、夫は実家と少し距離を置いている節がある。ファミリービジネスということ、それとは別に自分の会社が家族のオフィスから数軒隣にあること、結婚後も仕事上毎日家族と顔を合わせているので、休日ぐらいは実家の面子と会いたくないのかもしれない。

誘ってくれたのは一番上の義姉。コロナ前は年の半分を海外で過ごしていた義父母が退屈しないように、毎週土曜日はどこかに「お出かけ」しているのだという。地方に住む旧友を訪ね、その土地の名物を昼食に囲み、お茶をしてKLに戻るのだそう。どうやらその場に孫を連れて行きたいらしい。姪や甥は成人し、なかなか付き合ってくれないので私たちに白羽の矢が立ったというわけだ。本来なら、孫だけでいいのだろうが、お昼ご飯付きなら私も行きたい。ということで、月に1回ぐらいの割合で、彼らのお出かけに便乗するようになったのだ。

これが思っていた以上に楽しい。訪れるのは観光名物・名所皆無の田舎町で、義父母や義姉の友人を頼りに、その土地で人気のローカルフードを食べるだけのツアーだ。夫は私が大好きな魚介類や、アッサムなどの酸味が強い食べ物が苦手なので、どんなに名物であろうが、我が家だけの旅だと食べる機会を逸してしまう。ところが、夫の家族はそういったものが好物なので、便乗すれば私が欲するごちそうにありつけるというわけだ。行き先も知らぬまま、ただただ珍しいものが食べられるという大名旅行に味を占めた私は、誘われるごとに尻尾フリフリお供するようになった。

見知らぬ土地で見知らぬ料理を食べ、見知らぬ人のお宅を訪問し、20年来の家族とともにお茶をする。なんとも不可思議な時空に佇むわけだが、これが日頃のストレスの緩和というか、この状況にことのほかリラックスしている自分に気づき驚いた。満腹が誘う満福か、それとも安心感なのか。「次回はどこで何を食べるのだろう?」と、中国語が飛び交う食堂の喧騒のなか、元来空っぽな頭をさらに空っぽにし、ぼんやりするのが心地よい。この感覚が瞑想なのか、はたまた迷走なのかは定かでない。

利秀 プロフィール 2001年来馬。チャイニーズの夫との結婚を機に永住を決意。大好きなマレーシアに振り回されつつKLライフを謳歌。現在3児の母。

関連記事

コメントは利用できません。

アーカイブ

ページ上部へ戻る