2018年4月-シラミ講

  ん丸ちゃん(末娘)の頭に『クトゥ』がいるんだよ!」と、長女。なんだって!? クトゥとはマレー語で「シラミ」のことである。どうやら、マレーシアでよくあることらしく、いまだにシラミを頭に乗せて登校する児童がいるのだ。「シラミって、戦後かい!」信じられない。いや、信じたくない心境で恐る恐る娘の髪をかき分けた。おるわ、シラミさん···。
すぐに夫行きつけの場末の美容院へ。なんてこった、長女にまで移っているではないか! 目の前が真っ暗になった。シラミって、シラミって、シラミってぇぇぇ!!
美容院のおばちゃんが近所の薬局へシラミ駆除シャンプーを買いに行ってくれた。「これは強い薬だけど、使ってもいい?」と聞く。肌が弱い末娘には不安だったが、相手は強靭な生命力をもつシラミ。藁にもすがる思いでおばちゃんに全てを委ねた。
シャンプーをつけて、頭の隅々をごしごしとマッサージ。娘たちは気持ちよさそうに、恍惚した目つきで鏡に映る自分を見つめている。しばらく放置して洗い流し、目の細かい櫛で丁寧にシラミとその卵を除去。一人36リンギ。同時に30分シャンプーマッサージを受けた私は18リンギなり。
帰宅後、もう一度シャンプーするも、まだ白っぽいモノが残っている。シラミの卵はフケのような、細かいたばこの灰のような形状で、私がイメージしていた虫の卵とははるかに異なる物体であった。髪の毛にしっかりと付着しており、手で払ったり、櫛でといたぐらいでは落ちないのだ。枕を捨て、シーツを取り換え、マットレスに掃除機を掛け、コロコロで清掃。
翌日、同様の経験をもつ友人に相談し、彼女が日本で購入したというステンレス製の櫛を拝借。娘たちが帰宅するやいなや風呂場に連行し、シャンプーに酢を混ぜて頭をゴシゴシと洗った。そのまま15分ほど放置して洗い流す。酢は卵の頑固な粘着を剥がす効果があるという。次に、アルガンオイルを櫛と髪に馴染ませてブロッキングし、いく度もいく度も丁寧に櫛でといた。オイルは櫛の通りをよくするため、また、前日のシャンプーでバシバシになってしまった髪へのトリートメント効果も発揮した。目の詰まったステンレス製の櫛は、シラミの死骸や卵を逃さずキャッチ。熱湯をためた洗面器で、櫛をその都度洗いながら髪を何度もとく。シラミや卵は60度以上で死滅するという。いっそのこと、頭から熱湯をかけてやりたい衝動に駆られたが、そんなことできるわけもなく…。
なんでもティーツリーオイルがシラミ撃退に効果的なんだそう。わが家にはユーカリオイルしかないので、それを数滴トリートメントに混ぜて、シラミが好む耳の後ろやうなじにすり込んだ。美容師の妹曰く、英国でも日本でも、シラミ保有者は美容院は出禁なんだそう。 
3日目。シラミも卵もなくなった。しかし、油断は禁物だ。シラミは1日に3~5個卵を産み、7~10日で孵化し、約1ヵ月生きるという。髪から離れたシラミの生存率は低いが、卵は硬い殻に守られ、どんどん孵化すんだそう。
というわけで、シャンプーブラッシングは最低でも10日は続けなければならない。終わり時を定めるのが悩ましいシラミとの戦いはもうしばらく続きそうである。

利秀

2018/03/22 | カテゴリー:KLのらりくらり徒然草

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