2019年11月-続・招かれ猿客

ある日、3階のベランダに出ると違和感があった。寝室から続くこのベランダには、洗濯機とシンクと物干しがあるのだが、シンクの下に置いていた漂白剤が空っぽ、その容器が柵の淵に。なぜ? 思い当たる節は全くなく、気にせず空容器を捨てて洗濯物を干した。
翌日。種だけになったマンゴーと食べかけのマンゴーが落ちていた。九官鳥のような鳥が所構わずフンをするので困っていたのだが、あんなに小さな鳥がこれらを運んできたのだろうか。カラスの仕業か? 犯人が気になるので、マンゴーは放置し、洗濯物は室内干しにした。
翌々日。外出前、私は階段脇の壁にぶら下げた小さな鏡の前で、申し訳程度の化粧を施していた。鏡越しに、何か動いた。外で飼っている猫が侵入したのか? それにしては、随分と大きい。濃いグレーだし、我が家の猫の色とは違う。ん!? と振り返った瞬間、ソレは階段からダイニングテーブルへジャンプした! そして、お菓子が入ったビニール袋を物色し始めた。尻尾フリフリ近づいたトイプードルはキーッと威嚇されて私の足元へ逃げ込む。私たちは、ゆっくり音を立てないように外へ出た。しばらくしてソレは階上へ逃げて行った。でっかい猿だ。夫に電話すると近くにいたので即帰宅。フライパンの底をおたまで叩きながら猿を探す。2階の窓が開いていた。
4日目。3階のベランダを見て仰天。食べかけのマンゴーは種だけになり、ゴミ箱はひっくり返り、ロール型のゴミ袋が長々と伸ばされ、ガーランドのように垂れ下がっている。乱痴気騒ぎでもあったのか。夫がベランダに出ると、昨日とは違う種類の猿の家族が屋根にいると言う。ホースで水を撒くと一目散に逃げた。夫が身を乗り出して屋根を覗くと、まだ数匹いるらしい。「写真撮ってよ!」と私。夫がスマホを取ろうと私の方へ振り向いた瞬間、ド~ン! と洗濯機の上に何かが落ちてきた、いや降りてきたのは、ボス猿。ぎゃぁ! 普段は冷静沈着な夫もさすがに声を上げた。私は夫の手から自分のスマホを引ったくると素早くガラス戸を閉じた。咄嗟とはいえ、すまん、夫よ…。取り残された夫は、再びホースで水を撒いた。猿は逃げていった。
5日目。ベランダの様子を見に行くと、一匹の猿が空のゴミ箱を漁っている。窓をコンコンと叩くと、そいつは私に牙を剥いてガラスにバ~~~~ン! と、ぶつかってきた。何度もジャンプして攻撃する猿にカメラを向けると、今度はズシンと鈍い音が。ひさしでマンゴーを食べていた猿が、マンゴーを床に投げつけて去っていったのだ。
我が家はKL郊外にある住宅地。付近には川が流れ、森林地帯がありゴルフ場もあるのだが、近年、そこいらの木々が伐採され、猿の居場所がなくなってしまったのだろう。気の毒な猿ではあるが、ベランダを乗っ取られて洗濯ができない私も哀れである。住宅地の自治体の親分に相談すると、この半年間被害が多く、森を伐採しているディベロッパーに抗議中とのこと。猿対策を快諾してくれたが、それ以降、猿は危険を察したのか、現れなくなった。彼らが過ごせる新居が見つかるといいのだが…。
全く、動物ネタが尽きない家である。
利秀

2019/11/01 | カテゴリー:KLのらりくらり徒然草

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