2019年3月-ロッタン

ある日、小学生の娘2人を学校まで送った。その日は早朝より激しい雨が降っており、渋滞を考慮していつもより10分早く家を出た。学校は自宅から15分ほどだが、朝は渋滞で時間がかかる。6時50分に家を出れば、7時15分には到着できる。しかし、出発時刻が7時を回ると話は変わり、7時40分着となってしまう。7時半始業だから、この10分が遅刻の瀬戸際となるのだ。この日の渋滞は特に酷く、7時40分着、つまり遅刻してしまったのだ。
 長女は次女に「今日は全校朝礼の日だから、カバンを教室に置いて、走って礼堂(体育館)に行くんだよ。その時、必ず前のドアから入って、クラスの列に並んでね。カバン持ったまま後ろのドアから入ると遅刻がバレてRottan(ロッタン)だからね!」と言った。
 要するに、ズル賢い長女は、トイレから戻ってきた風を装い、何食わぬ顔で列に紛れると遅刻がバレないというのだ。「まぁ、それでもいいけど、ちょっとズルいなぁ。渋滞の様子は先生も知ってるやろし、今日は怒られないでしょう」と言いながら2人を送り出した。
帰宅後「怒られた?」と聞くと、長女は「ぜ~んぜん! 作戦大成功!」とVサイン。次女を見るとブスッとふてくされて「ロッタン…」と呟いた。次女は遅刻がバレてしまったのだ。
「ロッタン」という昔ながらのお仕置きが未だに残っている学校がある。ロッタンとはローカルスーパーの箒売り場に1リンギほどで売られている長さ50センチほど、直径4ミリぐらいの柔らかい籐の棒、いわゆる鞭だ。ロッタンは宿題忘れ、忘れ物、遅刻など、先生や学校との約束・ルールを守れなかった生徒に使われる。教室の前に立たされ、右手のひらを上に向けてスタンバイ。先生がロッタンでピシャッと手を打つのである。初めて聞いた時は驚いたもんだ。「体罰は許さん!」と声を荒げる人もいるかもしれない。しかし、私はこのロッタンを悪くないと思っている。
先生は生徒たちにロッタンの理由を説明し、諭し、心の準備をさせる。その瞬間は痛いけれど、大けがには至らない。鞭をむやみに振り回すなら話は別だが、これぐらいのお仕置きはあってもいいと思うのだ。長男も初めての時は帰宅後ポロポロと涙した。「今日、宿題を忘れたから先生がロッタンした」と。「痛かった?」と聞けば「痛かったけど、今は痛くない」と答える。「どうして泣くの?」と尋ねたら、「恥ずかしかったから。もうこんなの嫌だから忘れ物をしないようにする」と誓った。もちろん、それからも幾度か忘れ物や遅刻があり、その度にロッタンを食らうことはあったが、長男は学校に関する準備はきちんと自分でできるようになった。長女も同様だ。次女もそうであることを願っている。
もちろん体罰に賛成では決してない。しかし、きちんと先生の話を聞き、同じ失敗を繰り返さないという意識が芽生えるのも、クラスの秩序が保たれるのも、先生の指導の努力はもちろんだが、しなやかなロッタンの威力でもあり、「教鞭をとる」に、時には必要だと私は考えるのだ。
利秀

2019/03/01 | カテゴリー:KLのらりくらり徒然草

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