2010年11月-第1回

「子どもが、なかなか思うように育ってくれなくて困っているんです。どうしたらうまく育つんでしょうか」

マレーシアのみなさん、はじめまして。明橋大二と申します。日本でスクールカウンセラーをしています。 これから、連載をさせていただくことになりました。子育てにとって大切なことをみなさんにお伝えしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。 

 先日、小学一年の男の子のことで、相談に来られたお母さんがおっしゃいました。

「子どもが、なかなか思うように育ってくれなくて困ってるんです。どうしたらうまく育つんでしょうか」そこで私は聞いてみました。

「では、お母さんは、どういう子どもに育ってほしいと思いますか?」お母さんは、ちょっと考え込みました。

「そうですね。私は本当は、ただ健康であってくれればいいと思ってるんです」

「そうですか。じゃあ、健康でさえあればいいですか?」

「そうですね。もちろん、性格も素直で明るい子どもがいいですけど」

「じゃあ、健康で、性格が素直で明るい子なら、それでいいですか」

「そうね。やっぱり、勉強もできないよりできたほうがいいし、時にはお手伝いもしてほしいし、いじめとかに負けない強い子、あと、自分の意思をちゃんと持っている子。思いやりのある子。外でよく遊ぶ子……」

 ついつい笑顔になってしまった私を見て、お母さんは言いました。「ちょっと欲張りすぎですかね」「というか、ありえないですよね……」つられて、お母さんも笑いだしました。

 自分の意思をちゃんと持っている子は、たいてい素直ではありませんし、外でよく遊んで、なおかつ、お手伝いもして、宿題もする、なんて、ふつう子どもには無理です。現実にはありえない理想の子どもに、わが子がならないと悩むより、今ある子どものよさを認めることから始めてみてはどうでしょう。足りないところばかり目について、あれもダメ、これもダメ、と、ついつい言ってしまいます。

 でもそうするとそのうち、子どもは、自分の存在自体がダメなんだ、と思ってしまうかもしれません。ところが、違う目線で子どもを見てみると、あんなに問題児だと見えた子も、なぜかいとおしく、輝いて見えてくるから不思議です。 

明橋大二(あけはしだいじ)

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