2013年1月-歴史への関心度

あけましておめでとうございます。新年ですので、今回は少し趣を変え、マレーシアの人たちの歴史への関心度について少し述べてみたい。今回の記述はあくまで著者が過去数年にわたって経験したことに基づいているので、あらかじめご了承していただきたい。

ご存知の通り、マレーシアは主にマレー人や華人、インド人などから成り立っている社会。このため、民族により歴史そのものに対する見方や関心が異なっている。

歴史の科目は小学校から始められる。この科目のなかでマレーシアの歴史や世界史を学習する。歴史ではマラッカ王国やマレー半島の日本軍の占領、マラヤ連邦の独立やマレーシア連邦の結成、イスラム教史などを教わる。マレー人はマレーシアで優位に立つ民族という意識があるからか、彼らはいたって歴史に一定の関心を払っている。国立大学の歴史学科の学生比率は、圧倒的にマレー人が多く、比較的歴史の重要性を認識していると思われる。

ところが、華人の場合になると、少し状況が変わる。華人学校もマレー人学校と同じように歴史の科目があり、内容もマレー人学校と大概同じで、先生はマレー語で教えている。だが、問題なのは歴史への関心の度合いだ。華人は中国の歴史は比較的よく知っているものの、マレーシアの歴史となると関心があまり向かない。さすがに独立記念の年ぐらいは記憶しているが、その他のことはほとんど記憶になく、大方の華人の友人や知り合いは歴史の科目は苦痛だったと述べる。年代を詰め込んで覚えさせられる歴史をおそらく苦痛と感じていたのだろう。国立大学の歴史学科の華人の学生比率はほぼ皆無に等しい。国立大学への華人の入学はかなり難しいことも相まって、入学したとしてもビジネスに直結する学部を選ぶのが必定。「歴史を学んで何になる」や「歴史は金を生まない」といった考えが根底にあるのも歴史への無関心に拍車をかける。

インド人の場合は国立大学の歴史学科には若干名毎年入学する。比較的裕福な家庭に生まれた学生が多いように思う。インド人の歴史への関心は比較的高いが、歴史のなかでもおおむねインド人に関するトピックに関心が向く。

さて、マレーシアの書店に行くと、歴史の書棚は日本に比べるととても少ない。あっても世界史がほとんどを占め、マレーシアの歴史を扱う書籍の棚は雀の涙ほどで、書籍もそれほど多いとはいえない。これは出版事情によるものと歴史書のほとんどが英語で書かれているために読めない(または読みたくない)といった原因もあるのだろう。そういった要因により歴史をさらに倦厭(けんえん)させているのかもしれない。

いずれにしても、日本人の歴史への関心の高さに比べ、マレーシアの人たちの自国の歴史への関心度はそれほど高くはない。大学では現代社会における歴史を学ぶ重要性などを説いているものの、歴史の重要性はまだまだ社会に浸透はしていない。7年後に先進国を目指すマレーシア。この頃には歴史への関心度も高くなっているのだろうか。

葉一洋

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