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マレーシアで奮闘する日系企業トップマネージメントインタビュー – AEON CO. (M) BHD
- 2023/1/1
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AEON CO. (M) BHD MD
Managing Director
大野 惠司様
マレーシアで挑戦する新たな流通業のカタチ
マレーシア国内の総従業員13000人を牽引する、日系流通業のリーディングカンパニー、AEONマレーシアの大野社長が考える次なる一手とは?
AEONグループが、マレーシアに進出した経緯は?
マレーシアと当社の関係は40年も前のことです。1983年に当時のマハティール首相が日本を公式訪問された際に、日本の近代小売業をマレーシアでもぜひ展開していきたいというご意見をいただいたのがきっかけとなり、1985年6月にクアラルンプール市内の高層ビル、コンプレックス・ダヤブミに1号店をオープンしました(1989年閉店)。
現在の店舗数と展開するブランドは?
AEONマレーシアグループとして、大型スーパー(AEON)34店舗、ショッピングセンター(AEON MALL)28店舗、ディスカウントストア(AEON BIG)21店舗、スーパーマーケット(マックスバリュ)9店舗、ドラッグストア(AEON Wellness)が63店舗、フランチャイズ契約のダイソーが41店舗です。
AEONマレーシアは、ホスピタリティ面では、日本と変わらない、きめ細やかなサービスを目指していますが、商品面では、地元の方々をターゲットにしたラインナップが豊富で、マレーシア色が強いといえます。
どのようにマレーシア市場を見ているか?
世界各国から多くの投資分野やリソースの提供などの余地がまだまだ存分にあります。購買意欲に溢れたポテンシャルの高いマーケットです。国全体として見た際に、まだまだ伸び代があるように感じます。
他方で、マレーシアはマレー系、華人系、インド系などが混在しており、その社会状況は複雑です。嗜好やファッション、収入なども多様で、市場や店舗毎で、お客様が何を求められているのかを探るのは単一に括れない難しさがあります。
例えば、ノンハラルの商品を強化したいと考えるとします。しかしながら、北東部のコタバルのような地域は、ほぼマレー系の住民が人口を占めているため、ノンハラル商品の充実をしても意味がないのです。各エリアによって商品のラインナップや、店舗作りに工夫を凝らす必要があります。通信手段がこの10年で変化を遂げたように、流通業界も時代に応じて変化が求められ、お客様のニーズに合わせて売り場を変えていく必要があります。
しかしながら、歴史あるAEONマレーシア社では、急な方向転換が受け入れられづらい。新興国であれば、近代小売の経験も浅く柔軟に対応できますが、劇的な変化に対する抵抗感も強いです。世代、宗教、食文化、生活習慣と異なる趣向の方々に対して、いかにマッチした商品が提供できるか、という試行錯誤の繰り返しです。しかし、そこを追求していくことに醍醐味を感じています。
現在取り組んでいる重点施策は?
まずは、日本の冷凍食品、インスタント商品などの商品分野の充実です。同じく日本の果物も商材として力を入れています。しかし、旬の果物を空輸しようとすると定価の3倍ほどの高値に跳ね上がります。そこで、船便を上手く活用し、規模を活かして、可能な限り価格を抑えてお客様にご提供できる策を考えています。食品以外の日用品の充実も大切な要素で、例えばフード用ラップ。日本製はやはり切れ味が違います。また、ボトルや食品保存容器なども日本の高品質商品を、いかに安価に販売できるかというところで、他社との差別化を図っていきます。更に、日本でも人気のフェアの開催を当地でも行います。岩手フェアや日本全国お菓子まつりなどのイベントを行い、全てのお客様に喜んで頂きたと考えています。
もう一つ力を入れているのが、ネットスーパーです。コロナ禍以降、当社のサービス利用者様が増加し、15万人以上の会員を有しております。サイト自体の使い勝手や商品群など、改善点はありますが、日本基準に限りなく近いサービスの提供を目指し、ネット販売の拡充に取り組んでいます。日本人ファミリーの親御様より、小さいお子様を連れての買物時の荷物の運搬や移動が軽減された、という声を聞く度に、ネットスーパーの意義を感じます。特に女性のお客様にとっては、お米、飲料水を運ぶ際にご不便な思いをされていることは想像に難くないことです。AEONのネットスーパーは、KL市内でしたら、注文後最短で3時間以内にご自宅にお届けします。また配達希望時間を朝10時〜夜9時まで1時間毎にお選びいただけます。新鮮な野菜や果物、冷凍食品、パンなどが簡単に購入できます。お客さまから頂く声を元にサービスを改善し、進化させて行きたいと考えております。ぜひご利用ください。
これまで苦心した事や、どのように改善・解決したか?
2019年まで順調に店舗出店を拡大していましたが、コロナ禍では多くのショッピングセンターが閉鎖を余儀なくされました。AEONも食品売場だけは、生活インフラとして営業が許可されましたが、衣料、家電、寝具などの他の生活用品の売場は閉店せざるを得ない状況でしたので、この間の経営は非常に厳しい状況でした。テナント様は、止むを得ず退店されるところもありましたが、AEONの企業理念として、人を大切にするという信念のもとに、人員削減は行わず、雇用を守り続けました。最近お客様の購買力は戻りつつある感触はありますが、コロナ禍を起点に、お客様のお買い物の頻度や店舗での過ごし方に変化を感じます。例えば、これまで週に数回お買い物をしていたお客様は、週一~二回に減り、コロナ後もその流れが定着してしまいました。
従業員の教育などについては、日常のコミュニケーションがいかに重要かということです。こちらの意図をきちんと伝え、相手の意見をきちんと聞く。これは全世界共通して言えることかと思います。また、マレーシアの方の意見を尊重・尊敬し、仕事をするということが大切です。様々な考えの人がいる中で、我々の意見を押し付けないというのが、非常に重要と考えています。


お客様に提供する貴社の価値とは?
我々は常に「変化」や「対応力」が問われる業種です。お客様の要望に則していないと、成立しないビジネスモデルです。ですから、変革への挑戦には常に気を配っています。世の中のトレンドの1歩も2歩も先を見越して、お客様から必要とされる商品を先んじて提案する、それが我々の価値であり、使命でもあります。
最後に読者へのメッセージを
地元のお客様に向けた商品ラインナップの強化も大切ですが、邦人の皆様に向けては、更なる日本食材の充実を図って参ります。また、企業にお勤めの皆様にはお伝えさせて頂きますが、当社は日本食の他社様とのコラボ開発も前向きに進めていきたいと考えています。例えばオタフクソース様と「お好み焼き」の開発や、キッコーマン様との「日本のおかず」等、様々な機会でコラボをお願いしておりますので、日本メーカー様との協業のご提案を是非頂戴できれば幸いです。
AEONマレーシアは、実店舗とオンラインの両輪でお客様に選ばれる企業でありたいと願っていますので、当社の各種サービスに関するご感想やご意見をお聞かせください。下記の特典を使って、当社のネットスーパーをぜひ一度ご利用ください。お客様のご意見が、企業文化を育て、サービスの向上に繋がります。問題点があれば、一つ一つ改善し、より良い売場を作り上げていくことが我々の目標でもあります。「お客様のお声を大切にする」―AEONマレーシアが最も大切にしている理念です。
